2013/12/2

産業・貿易

WTOがEUのアザラシ製品禁輸を容認、加・ノルウェーの訴えを却下

この記事の要約

カナダとノルウェーがEUによるアザラシ製品の輸入禁止は不当な措置として世界貿易機関(WTO)に提訴している問題で、WTOの紛争処理小委員会(パネル)は11月25日、両国の訴えを退け、EUの禁輸措置を認める裁定を下した。\ […]

カナダとノルウェーがEUによるアザラシ製品の輸入禁止は不当な措置として世界貿易機関(WTO)に提訴している問題で、WTOの紛争処理小委員会(パネル)は11月25日、両国の訴えを退け、EUの禁輸措置を認める裁定を下した。

\

EUは撲殺など残虐な手法が用いられるアザラシ猟に対する国際的な批判が強まっていることを受け、アザラシの毛皮、肉、油脂や、それらを用いた製品の輸入を禁止する措置を2010年8月から実施している。先住民族イヌイットが自給のため伝統的な方法で行うアザラシ猟による製品は、例外扱いとなっている。これに対してアザラシ猟が盛んなカナダとノルウェーは、貿易ルールに反する不当な措置としてWTOに提訴していた。

\

両国はアザラシ猟を残虐とする見方は偏見に基づくもので、EUで広く行われているシカ猟と変わらないと指摘。また、先住民族による猟を例外的に認めているのは差別的措置に当たると主張している。

\

WTOのパネルは、残虐性という倫理的見地に基づく禁輸に問題があるという点で、カナダとノルウェーに一定の理解を示しながらも、EUの措置を「EU市民の倫理上の懸念に対応するのが目的」として容認。差別的との指摘についても、例外扱いを「首尾一貫して」適用している場合は問題ないとの判断を示し、EUの禁輸措置をルール違反ではないと結論づけた。

\

カナダ政府は今回の裁定を不服とし、上訴する構えを示している。

\