2013/12/16

環境・通信・その他

バイオ燃料規制案めぐる調整難航、決着は15年以降に

この記事の要約

EU加盟国は12日のエネルギー相理事会で、食用植物のバイオ燃料への転用を規制する指令案について協議したが、意見が分かれて合意に至らなかった。これによって指令案をめぐる協議は越年が決定。成立は2015年以降にずれ込む見通し […]

EU加盟国は12日のエネルギー相理事会で、食用植物のバイオ燃料への転用を規制する指令案について協議したが、意見が分かれて合意に至らなかった。これによって指令案をめぐる協議は越年が決定。成立は2015年以降にずれ込む見通しとなった。

\

EUは2009年に発効した「再生可能エネルギー利用促進指令」に基づき、2020年までに運輸部門における再生可能エネルギーの利用比率を10%以上とする目標を掲げ、加盟国に達成を義務づけている。ただ、菜種や大豆など食用植物を原料とするバイオ燃料の生産が拡大し、食料生産が圧迫される恐れがある。このため欧州委員会は昨年10月、麦わらや農産廃棄物などを原料とする「第2世代バイオ燃料」の利用促進に向けて、食用植物を原料とする従来型バイオ燃料のシェアを最大5%に制限する指令案を発表した。

\

この規制案をめぐっては、バイオ燃料生産者が猛反発していることから、欧州議会は今年9月の本会議で、従来型バイオ燃料のシェアを原案より緩やかな6%とする修正案を可決していた。エネルギー相理事会では、議長国リトアニアが厳しい規制への反発を考慮し、さらなる妥協策として同比率を7%まで引き上げることを提案した。しかし、ポーランド、ハンガリーなどが低すぎるとして抵抗。さらに、デンマーク、ベルギーなどが、7%では緩やかすぎて、第2世代バイオ燃料への転換が進まないとして反対に回り、協議は物別れに終わった。

\

同問題の調整は、来年1月にEU議長国となるギリシャの手に委ねられる。しかし、欧州議会が5月に改選され、欧州委員会の委員も10月に入れ替わることから、協議が事実上棚上げとなるのは必至で、14年内の指令案成立は難しい情勢だ。

\