2014/1/6

総合 –EUウオッチャー

構造改革の「契約」構想、制度設計先送り=首脳会議

この記事の要約

EUは12月19、20日にブリュッセルで開いた首脳会議で、経済成長戦略について協議し、ユーロ圏各国が持続的な成長、雇用確保に向けて「契約」に基づいて構造改革を進めていくことを確認した。加盟国が防衛分野での協力を深めること […]

EUは12月19、20日にブリュッセルで開いた首脳会議で、経済成長戦略について協議し、ユーロ圏各国が持続的な成長、雇用確保に向けて「契約」に基づいて構造改革を進めていくことを確認した。加盟国が防衛分野での協力を深めることでも合意した。ただ、「契約」をめぐっては加盟国間で大きな意見の隔たりがあり、制度設計を固める期限は当初の2014年6月から10月に延期されることになった。

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構造改革の「契約」は、欧州委員会が2012年11月、EUの経済通貨統合(EMU)の深化に向けた青写真を示す報告書で、長期的な戦略の柱のひとつとして打ち出したもの。ユーロ圏各国が経済成長や競争力の強化に向けて、労働市場、教育など幅広い分野の改革について計画を策定し、その実行を拘束力のある契約の形で欧州委、他のユーロ参加国に約束する代わりに、構造改革に必要な金融支援をユーロ圏が新たに創設する基金から受けるという内容だ。EUは12年末の首脳会議で、その詳細を示す報告書を14年6月までにまとめることで合意していた。

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EUでは同構想について、ドイツが銀行同盟創設に続く経済統合深化への新たなステップとして、強く支持している。しかし、契約に法的拘束力を持たせることなどをめぐって加盟国間に大きな溝があり、今回の首脳会議では突っ込んだ話し合いは行われず、報告書作成を4カ月先送りすることになった。

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一方、安全保障については、各国の国防予算が財政悪化で削減される中、協調を強化してEUの防衛能力を高めることで合意。議長総括には次世代の無人航空機を2020~25年をめどに共同開発することや、空中給油能力の増強、サイバー防衛での協力強化などが盛り込まれた。ただ、EU独自の部隊を創設する構想については、英国の反対で進展はなかった。

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