2014/1/6

総合 –EUウオッチャー

ラトビアがユーロ導入、ユーロ圏18カ国体制に

この記事の要約

バルト3国のラトビアが1日に欧州単一通貨ユーロを導入し、ユーロ現金の流通が始まった。2004年のEU東方拡大以降に加盟した国のユーロ参加は、キプロス、マルタ、スロベニア、スロバキア、エストニアに次ぐ6カ国目。これによって […]

バルト3国のラトビアが1日に欧州単一通貨ユーロを導入し、ユーロ現金の流通が始まった。2004年のEU東方拡大以降に加盟した国のユーロ参加は、キプロス、マルタ、スロベニア、スロバキア、エストニアに次ぐ6カ国目。これによってユーロ圏は18カ国体制に拡大した。

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ユーロ参加には財政均衡、インフレ率などの基準を満たす必要がある。欧州委員会は2012年6月にラトビアが導入基準を満たしていると認定。EUは7月の財務相理事会で2014年1月からのユーロ導入を正式承認していた。

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ラトビアの首都リガでは、1日の午前0時に花火が盛大に打ち上げられ、ユーロ導入を祝った。記念式典でATM(現金自動預け払い機)からユーロ紙幣を引き出したドムブロフスキス首相は「ユーロ圏の一員となったことで、ラトビアは経済発展に向けて大きな弾みがついた」と喜びを表した。

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ラトビアは2005年5月からユーロ導入の前段階となる欧州為替相場メカニズム(ERM2)に加わっており、旧通貨ラトとユーロの交換比率は同制度に基づき1ユーロ=0.702804ラトとなる。銀行では6月末、郵便局では3月末までラトを手数料なしでユーロと交換することができる。6月末までは小売店などが価格表示でユーロとラトを併記することが義務付けられる。

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同国政府はユーロ導入によって信用力が高まり、国債発行による資金調達のコスト縮小、投資増加といった効果を期待している。ただ、国内では、ユーロ圏が信用不安に見舞われたことや、通貨切り替えに伴う便乗値上げによる物価上昇への懸念、ソ連邦からの独立の象徴となっていた旧通貨ラトへの強い愛着から、ユーロ導入に対する国民の反応は冷ややかで、最新の世論調査では5割が反対と回答している。

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EUではリトアニアが2015年1月のユーロ導入を目指している。しかし、ポーランドなど他のユーロ未導入国は、ユーロ圏が信用不安で大きく揺れた直後だけに導入への熱意が後退しており、ユーロ圏はリトアニアの参加を最後に当面は拡大がストップする見込みだ。

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