2014/1/6

総合 –EUウオッチャー

預金保護ルールの改正で合意、銀行負担で保険基金設立へ

この記事の要約

EU加盟国と欧州議会の代表は12月17日、預金保護ルールの改正案で合意した。EU内の銀行が破たんした場合に保険で保護する個人預金の限度額は10万ユーロに据え置く一方で、各国に銀行の負担で預金保険基金を設立することを義務付 […]

EU加盟国と欧州議会の代表は12月17日、預金保護ルールの改正案で合意した。EU内の銀行が破たんした場合に保険で保護する個人預金の限度額は10万ユーロに据え置く一方で、各国に銀行の負担で預金保険基金を設立することを義務付けるほか、預金の払い戻し期間を短縮し、預金者保護を強化する。加盟国と欧州議会による承認を経て正式成立となる。

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同合意によると、各国は保険基金で、原則的に預金保険でカバーされる預金額の0.8%に相当する額を10年間で積み立てることを求められる。銀行が“密集(Concentrated)”している国に対しては、同額を0.5%まで引き下げることを認める。また、短期間に巨額の積み立てを迫られる国については、達成期間を4年間延長する。“密集”国はフランスなどを想定したものと見られる。

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預金保護の対象となっている預金の払い戻し期間に関しては、現在は銀行が破綻してから20営業日以内と定められているが、2019年1月までに15営業日、21年1月までに10営業日、24年までに7営業日に短縮する。

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EUでは1994年に預金保護ルールが導入されたが、各国に銀行の拠出による預金保険基金の創設を義務付けるのは初めて。これまでに銀行が破綻したケースでは、公的資金の注入によって処理する例が多く、納税者にしわ寄せが及ぶことから、今後は銀行に負担させることにする。

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EUの銀行同盟創設構想は、(1)銀行監督の一元化(2)銀行破綻処理の一元化(3)預金保険制度の一本化――の3段階で実施されることになっている。第3段階となる預金保険制度の一本化では、ユーロ圏共通の預金保険基金を設けることが最大の柱となっており、今回合意した各国ベースでの基金設立は、その実現に向けた布石となる。

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