2014/1/6

欧州ビジネスウオッチ

フィアットがクライスラーを完全子会社化、世界7位の自動車グループに

この記事の要約

伊自動車大手フィアットは1日、約58%を出資する米クライスラーを完全子会社化すると発表した。全米自動車労働組合の医療保険基金(VEBA)が保有するクライスラーの株式41.5%を総額36億5,000万米ドルで取得し、経営統 […]

伊自動車大手フィアットは1日、約58%を出資する米クライスラーを完全子会社化すると発表した。全米自動車労働組合の医療保険基金(VEBA)が保有するクライスラーの株式41.5%を総額36億5,000万米ドルで取得し、経営統合する。これによって販売台数で世界7位の自動車グループが誕生する。

フィアットは2009年、経営危機に直面していたクライスラーに20%を出資。同時にフィアットが得意とする分野の技術を提供するなど業務提携も結んだ。フィアットは出資の際の米政府との取り決めで、一定の目標を達成するたびに出資を拡大する選択権が与えられており、2012年1月までに株式を段階的に買い増し、持ち株比率を58.5%に引き上げていた。

フィアットは欧州自動車市場の不振が続く中、業績が急回復したクライスラーの利益貢献に支えられ、黒字を確保してきた。クライスラーの完全子会社化によって競争力と事業基盤を強化し、ゼネラル・モーターズ(GM)、トヨタなどを追撃する態勢を整える。

買収額のうちフィアットが拠出するのは19億ドル。残る17億5,000万ドルはクライスラーがVEBAに特別配当を実施する形で負担する。1月20日までの買収手続き完了を予定している。

フィアットはVEBA保有株の取得について以前から交渉を進めていたが、価格をめぐってVEBAと折り合いがつかず、協議が難航。同社は一時、経営統合を断念し、クライスラーを米国で再上場させることを計画していた。今回の取引成立によって、上場計画は撤回されることになる。