2014/1/6

欧州ビジネスウオッチ

イベルドローラが英原発事業撤退、東芝に株式50%売却

この記事の要約

スペイン電力大手イベルドローラは12月23日、英原発事業会社ニュージェンの株式50%を東芝に売却することで合意したと発表した。売却額は8,500万ポンド(約1億200万ユーロ)。ニュージェンの原発新設計画は、イベルドロー […]

スペイン電力大手イベルドローラは12月23日、英原発事業会社ニュージェンの株式50%を東芝に売却することで合意したと発表した。売却額は8,500万ポンド(約1億200万ユーロ)。ニュージェンの原発新設計画は、イベルドローラが消極的で停滞しているが、同社に代わって東芝が資本参加することで、実現に向けて動き出しそうだ。

イベルドローラと仏エネルギー大手GDFスエズの折半出資で2009年に発足したニュージェンは、イングランド北西部セラフィールドに保有する190ヘクタールの用地に出力360万キロワットの原発を建設することを計画しており、当初は2014年末までに事業認可を申請する方針を打ち出していた。しかし、日本の原発事故をきっかけに欧州で脱原発の動きが広がる中、イベルドローラが後ろ向きに転じて凍結状態にある。

イベルドローラは債務圧縮のため、非中核事業の売却を進めており、これまでにフランス、ドイツ、ポーランドの風力発電事業売却を決めた。ニュージェンからの撤退も、こうした流れに沿ったもの。

英国は電力需要の多くを賄う旧式の石炭火力発電所の耐用期限が近づいているため、ドイツなどとは対照的に原発建設推進を掲げており、フランス電力公社(EDF)が南西部のヒンクリーポイントに原発を建設する事業への支援を決めたばかり。福島の事故で国内の需要が縮小している日本の原発関連企業にとっては大きなビジネスチャンスが見込める国で、日立製作所は2012年に原発事業会社ホライズン・ニュークリア・パワーを買収した。

東芝は日立に続いて英市場に進出し、ニュージェンが建設する原発で傘下の米ウエスチングハウスによる設備供給受注を狙う。