2014/1/13

環境・通信・その他

気候変動委、9億トン分の排出枠入札延期を承認

この記事の要約

EU28カ国の代表で構成する気候変動委員会は8日、EU排出量取引制度(EU-ETS)の第3期間(2013-20年)に有償配分する排出枠のうち、9億トン分の入札時期を延期する計画を承認した。欧州議会とEU閣僚理事会の正式な […]

EU28カ国の代表で構成する気候変動委員会は8日、EU排出量取引制度(EU-ETS)の第3期間(2013-20年)に有償配分する排出枠のうち、9億トン分の入札時期を延期する計画を承認した。欧州議会とEU閣僚理事会の正式な手続きを経て、4月にも排出権価格を下支えするための「バックローディング(排出枠の入札延期措置)」が導入される可能性がある。

EU排出量取引制度(EU-ETS)では第3期間の初年度から段階的にオークションによる排出枠の有償割当を拡大し、27年までに全面移行することが決まっている。しかし、ユーロ危機に伴う景気低迷で企業の生産活動が停滞し、排出枠に膨大な余剰が生じた結果、排出権価格は今年4月に1トン当たり2.46ユーロの最安値を記録。現在も5ユーロを下回る水準で推移している。欧州委は12年7月、排出枠の需給改善を図るため、13~15年に有償配分する排出枠のうち、9億トン分の入札時期を16年以降に先送りする計画を打ち出したが、一部で当局の市場介入に反対する声が根強く、欧州議会は昨年4月の本会議で同構想を否決。加盟国、欧州議会、欧州委の間で合意形成に向けた調整が続いていた。

承認された計画案によると、欧州委は14~16年に有償配分する排出枠うち、9億トン分の入札時期を19~20年に先送りすることができる。通常の手続きでは欧州議会と閣僚理による計画案の評価に3カ月を要するが、欧州委は早期にバックローディングを実施できるよう、両機関に対して検証作業を急ぐよう求めている。

欧州委のヘデゴー委員(気候変動担当)は「バックローディングの導入にめどがついた。ただ、同措置は短期的に炭素市場を安定させるうえで有効な手段だが、EUとしてより構造的な課題を克服しなければならない」と強調。今月末に打ち出す2030年までの包括的な気候変動・エネルギー政策に具体的な提案を盛り込む方針を示した。