2014/1/13

環境・通信・その他

30年までの温効ガス削減目標で不協和音、英仏独伊は40%を主張

この記事の要約

2030年を達成期限とする温室ガス排出量の削減目標をめぐり、EU内の調整が難航している。欧州議会の環境・エネルギー委員会は9日、温室効果ガス排出量を30年までに1990年比で40%削減するなどの新たな数値目標を承認。英仏 […]

2030年を達成期限とする温室ガス排出量の削減目標をめぐり、EU内の調整が難航している。欧州議会の環境・エネルギー委員会は9日、温室効果ガス排出量を30年までに1990年比で40%削減するなどの新たな数値目標を承認。英仏独伊も欧州委員会に対し、30年までの温室効果ガス削減目標を40%とするよう提言したもようだ。しかし、一部のEU加盟国や欧州委内からは、厳格な数値目標を導入すれば企業のコスト負担が増え、競争力低下や域外移転などの事態を招くといった意見が出ており、欧州委が近くまとめる30年に向けた気候変動・エネルギー政策にどのような数値目標が盛り込まれるか注目される。

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、英仏独伊の4カ国は欧州委のヘデゴー委員(気候変動担当)に宛てた共同書簡で、「30年までに温室効果ガス排出量を少なくとも40%削減するとの野心的な目標を設定することで、低炭素社会の実現に向けてEUが早急に必要とする投資を確保することができる」と強調。欧州委が今月22日に打ち出す政策文書で40%の削減目標を明記するよう求めた。一方、欧州議会環境・エネルギー委は30年を達成期限とする新たな目標として◇温室効果ガス排出量の40%削減◇エネルギー効率の40%向上◇EU全体のエネルギー消費に占める再生可能エネルギーの利用比率を30%まで引き上げる――を掲げている。

しかし、ポーランドをはじめとする一部の加盟国が厳格な数値目標の導入に強く反発しているほか、欧州委内でも温室効果ガス削減目標を35%以下に設定すべきとの意見が出ているもよう。AFP通信が伝えた消息筋情報によると、欧州委のエッティンガー委員(エネルギー政策担当)は35%を主張しており、40%を支持するバローゾ委員長やヘデゴー委員との対立が表面化している。一方、再生可能エネルギーの利用比率に関しては、脱原発に舵を切ったドイツが30%への引き上げを支持しているのに対して英国は難色を示しており、温室効果ガスの削減目標で一致した4カ国の間でも足並みは揃っていない。