2014/1/27

産業・貿易

ダイムラーの禁止冷媒使用問題、欧州委が独政府に法的手続き

この記事の要約

独自動車大手ダイムラーの高級車メルセデス・ベンツの一部モデルにEUが新車への使用を禁止しているカーエアコン用の冷媒が搭載されている問題で、欧州委員会は23日、ダイムラーを擁護するドイツ政府に対して法的手続きを開始したこと […]

独自動車大手ダイムラーの高級車メルセデス・ベンツの一部モデルにEUが新車への使用を禁止しているカーエアコン用の冷媒が搭載されている問題で、欧州委員会は23日、ダイムラーを擁護するドイツ政府に対して法的手続きを開始したことを明らかにした。独政府は2カ月以内の回答を求められる。欧州委は独側の対応次第で、欧州司法裁判所への提訴を含む法的措置を検討することになる。

EUでは温暖化防止策の一環として、昨年1月からカーエアコン用冷媒として使われてきた「R134a」などの代替フロンに代わり、地球温暖化係数(GWP)150以下の冷媒を使用することが義務づけられた。現時点でこの基準を満たすのは米ハネウエル・インターナショナルの「R1234yf」のみで、各メーカーは2011年以降に型式認定を受けたすべてのモデルにこの新冷媒を採用しなければならない。ほとんどのメーカーは同ルールを順守しているが、ダイムラーは独自に行った試験で高温のエンジンルーム内で引火性を持つことが確認されたとして新冷媒の採用を見合わせ、規制対象となるベンツ「Aクラス」「Bクラス」「CLA」「SL」に引き続きR134aを使用している。

ダイムラーはこれら4モデルについて、当初はR1234yfの搭載を前提に新開発の車両として型式認定を受けたが、同冷媒の採用を見送る決定を下した後、これらモデルを規制が適用されない既存モデルの「改良版」として独陸運局(KBA)に再申請。KBAはこれを認め、新車登録を受け付けている。

欧州委のタヤーニ委員(産業・企業担当)は「ダイムラーは安全性を理由に新冷媒の採用を見送っているが、欧州委はそのような問題は存在しないと考えている」とコメント。同社に規制順守を求める正式通知書を送付したことを明らかにした。

一方、ダイムラーは今回の動きを受けて声明を発表。独当局の承認を得てR134aを引き続き使用する一方、二酸化炭素(CO2)を利用した新たな冷媒の開発を進めていると説明している。