欧州議会は4日の本会議で、金融犯罪にEU共通の刑事罰を適用する法案を承認した。EUでは現在、こうした犯罪に罰金刑しか科されない国があるが、罰則規定を統一し、インサイダー取引、相場操縦など悪質な行為に4年以上、インサイダー情報の漏洩に2年以上の禁固刑を科す。
EUではインサイダー取引、相場操縦への罰則が加盟国によってばらつきがあり、スペイン、オーストリア、フィンランド、チェコなどでは罰金が最高刑となっている。禁固刑を適用している国でも、例えばインサイダー取引の最高刑がエストニアで30日、イタリアとスロバキアで12年と大きな開きがある。このため欧州委員会は2011年9月、こうした金融犯罪に対する罰則を域内全体で強化する指令案を採択。インサイダー取引、相場操縦などの定義を共通化した上で、全加盟国で禁固刑を適用する方針を打ち出していた。
EUではロンドン銀行間取引金利(LIBOR)、欧州銀行間取引金利(EURIBOR)の不正操作問題が発覚し、金融市場への信頼を揺るがす事態となっていることから、欧州議会は賛成616、反対20の圧倒的多数で同指令案を承認した。同指令案は加盟国の承認を得る必要があるが、28カ国は昨年末に支持を確認しており、成立は確実で、6月に発効の見通しだ。
EUでは昨年、これらの犯罪への罰則強化の一環として、罰金を統一する法案も可決、成立しており、封じ込めに向けた法整備が進むことになる。