2014/2/10

環境・通信・その他

欧州議会が排出枠入札延期手続きの迅速化を承認、3月中旬にも実施へ

この記事の要約

欧州議会は6日の本会議で、排出権価格を下支えするための「バックローディング(排出枠の入札延期措置)」の承認手続きを迅速化する案を賛成多数で承認した。EU加盟国の代表は前日に承認手続きの迅速化(ファストトラック)で基本合意 […]

欧州議会は6日の本会議で、排出権価格を下支えするための「バックローディング(排出枠の入札延期措置)」の承認手続きを迅速化する案を賛成多数で承認した。EU加盟国の代表は前日に承認手続きの迅速化(ファストトラック)で基本合意しており、閣僚理事会の正式承認を経て早ければ3月中旬にも同措置が導入される可能性がある。

EU排出量取引制度(EU-ETS)では第3期間(2013-20年)の初年度から段階的にオークションによる排出枠の有償割当を拡大し、27年までに全面移行することが決まっている。しかし、ユーロ危機に伴う景気低迷で企業の生産活動が停滞し、排出枠に膨大な余剰が生じた結果、排出権価格は08年の水準に比べて約80%下落。今年4月には1トン当たり2.46ユーロの最安値を記録した。

欧州委は12年7月、排出枠の需給改善を図るため、13-15年に有償配分する排出枠うち、9億トン分の入札時期を16年以降に先送りする計画を提案。しかし、一部で当局の市場介入に反対する声が根強く、欧州議会は昨年4月の本会議で同構想を否決するなど、合意形成が難航した。欧州議会と加盟国は昨年12月までにバックローディングの導入で基本合意し、具体的な実施方法について意見調整が続いていた。

クリーンエネルギー市場に関する分析調査を専門とするブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)によると、14年はバックローディングの第1段階として4億トン分の入札が延期される見通し。EU加盟国は今月24日の閣僚理事会でファストトラックを正式承認するとみられ、BNEFのアナリスト、イタマー・オルランディ氏はEU官報への掲載や市場参加者への告知など必要な手続きを経て、3月17日にもバックローディングがスタートするとの見方を示している。

市場はバックローディングの導入にめどがついたことを好感し、6日のICEフューチャーズ・ヨーロッパ(ロンドン)では排出権価格が1トンあたり6.54ユーロと、過去1年以上で最高値を記録した。