2014/2/24

総合 –EUウオッチャー

アイスランドのEU加盟見送りが決定的、国民投票実施せず

この記事の要約

アイスランドの2与党は21日、EU加盟交渉の打ち切りを国民投票を経ずに決定することで合意した。昨年4月の総選挙でEU加盟反対を掲げて勝利し、連立政権を組む両党は当初、国民投票で加盟交渉継続の可否を問う方針だったが、漁業権 […]

アイスランドの2与党は21日、EU加盟交渉の打ち切りを国民投票を経ずに決定することで合意した。昨年4月の総選挙でEU加盟反対を掲げて勝利し、連立政権を組む両党は当初、国民投票で加盟交渉継続の可否を問う方針だったが、漁業権をめぐるEUとの対立が深まり、世論が加盟反対に傾いていることから、政府の判断で加盟申請を撤回することを決めた。これで同国のEU加盟見送りが決定的となってきた。

アイスランドはあえてEU加盟を避けてきたが、2009年7月に加盟を申請。10年6月に加盟交渉を開始した。2008年の金融危機で国内経済が大混乱したことから、EUおよびユーロ圏の一員となって、国際支援を受けながら経済再建を進めるのが得策という判断したためだ。

しかし、金融危機の沈静化に伴い、EUの支援を受けずに経済再建を進めるめどが立ったほか、アイスランドが大西洋北東海域のサバ漁の漁獲枠をめぐるEUとの対立で、国内経済の柱である漁業の統制権を失ってまでEUに加盟することに反対する気運が蔓延。4月の総選挙ではEU加盟を推進してきた与党の社会民主同盟が大敗し、加盟に批判的な独立党と進歩党の連立政権が発足した。

新政権は5月、交渉を凍結すると同時に、加盟申請撤回の是非を問う国民投票を実施すると発表した。しかし、世論調査でEU加盟反対派が圧倒的に優勢であることから、外務省は昨年8月、国民投票なしでの加盟交渉打ち切りを検討することを明らかにしていた。

独立党と進歩党は、加盟申請撤回の法案を提出することで合意した。加盟交渉では、これまでに35に上る交渉分野のうち27分野で交渉を開始し、うち11分野が完了しているが、同法案の可決によって打ち切りとなる。