2014/2/24

環境・通信・その他

新たな温効ガス削減目標、最終決定は秋以降か

この記事の要約

EU加盟国は3月20日に開く首脳会議で、2030年に向けた気候変動・エネルギー政策について協議するが、温室効果ガス排出削減などの数値目標を最終決定する時期が秋以降にずれ込む可能性が取り沙汰されている。9月にはニューヨーク […]

EU加盟国は3月20日に開く首脳会議で、2030年に向けた気候変動・エネルギー政策について協議するが、温室効果ガス排出削減などの数値目標を最終決定する時期が秋以降にずれ込む可能性が取り沙汰されている。9月にはニューヨークで国連主催の気候変動問題に関する首脳会合が開催されることになっており、EUはそれまでに30年を達成期限とする目標を打ち出して温暖化対策をめぐる国際間の協議で主導権を握りたいところ。しかし、英国、フランス、ドイツなどが早期の目標設定を主張しているのに対し、ポーランドをはじめとする東欧諸国は高い目標が設定されることでエネルギー価格が上昇し、自国企業の生産活動に影響が及ぶことを懸念しており、調整は難航しそうだ。

EUは20年までの目標として◇温室効果ガスを90年比で20%削減する◇再生可能エネルギーの利用比率を20%に拡大する◇エネルギー効率を20%削減する――を掲げている。欧州委員会は先月、30年までの新たな目標として◇温室効果ガス排出量を1990年比で40%削減する◇再生可能エネルギーの利用比率を全体の少なくとも27%に拡大する――などを提案した。バローゾ委員長は「さまざまな研究やデータ分析から、30年までに温室効果ガスを40%削減するという野心的な目標を設定することが、低炭素経済 への転換を図るうえで最もコスト効率の高い方法だとの結論に至った」と説明している。

EU議長国ギリシャによると、加盟国は首脳会議に先立ち、3月3日の環境相理事会と同4日のエネルギー相理事会で欧州委の提案について協議する予定。AFP通信によると、フランスのファビウス外相は今月初め、5月の欧州議会選挙や10月末に迫った欧州委の任期満了などの日程を考えると、9月の国連会合までに新たな目標を打ち出すためには3月中に加盟国が合意する必要があると指摘していた。

ロイター通信がEU関係者の話として報じたところによると、加盟国は来月の首脳会議で30年に向けた数値目標を最終決定する期限を決める方針という。ただ、ポーランドなどは欧州委が提案している野心的な目標に 強く反発しており、首脳会議での合意形成は難しいとの見方が出ている。ブリュッセル自由大学のトーマス・ワインス研究員は「首脳会議で期限を決めることが非常に重要だ。6月までに最終決定することが望ましいが、それを逃すと年末にずれ込む公算が大きい」と指摘している。