2014/3/31

総合 –EUウオッチャー

米と対露経済制裁での連携で合意、米は欧州向けガス輸出規制緩和へ

この記事の要約

EUと米国は26日、ブリュッセルで首脳会議を開き、ロシアがウクライナへの軍事介入を拡大した場合、双方が連携して追加制裁を発動することで合意した。また、米国は欧州におけるエネルギー安全保障の強化を支援するため、欧州向けガス […]

EUと米国は26日、ブリュッセルで首脳会議を開き、ロシアがウクライナへの軍事介入を拡大した場合、双方が連携して追加制裁を発動することで合意した。また、米国は欧州におけるエネルギー安全保障の強化を支援するため、欧州向けガス輸出の規制緩和を検討することでも合意した。

首脳会議ではファンロンパイEU大統領、バローゾ欧州委員長、オバマ米大統領がウクライナ情勢を中心に議論した。双方はロシアによるクリミア編入について、国際法違反にあたり容認できないとの立場を改めて確認。ロシアがクリミア以外の地域に軍事介入を拡大した場合、EUと米国が連携してロシアに対する新たな経済制裁を発動することで一致した。

オバマ大統領は共同会見で「プーチン露大統領が西側を分断できると考えているのであれば大きな誤りだ」と指摘。首脳会議ではロシアのエネルギー部門に対する制裁の可能性について議論したことを明らかにし、欧米が協力して追加制裁を発動した場合、「ロシア経済は深刻な打撃を受けることになるだろう」と警告した。

ただ、EUは東欧諸国を中心にロシア産天然ガスに依存しているため、ロシアに対する経済制裁をめぐり加盟国の間で温度差がある。オバマ大統領はこうしたEU側の事情に理解を示したうえで、交渉中の自由貿易協定(FTA)を通じて「EUへの天然ガスの輸出が容易になる」と発言。エネルギー分野での脱ロシア依存を目指すEUへの協力を約束すると共に、EU自信もエネルギー資源の開発を進め、調達先の多様化を図る必要があると指摘した。

バローゾ委員長はEUと米国が4月2日にブリュッセルで会合を開き、エネルギー分野での協力について具体策を協議することで合意したことを明らかにした。EU側はアシュトン外務・安全保障政策上級代表、米側はケリー国務長官が共同議長を務める。