2014/3/31

総合 –EUウオッチャー

移民への社会保障給付要件厳格化、独政府の諮問委員会が提言

この記事の要約

ドイツ政府の移民問題に関する諮問委員会は26日、移民の社会保障給付の受給資格を厳格化することなどを柱とした中間報告書をまとめた。自国より整った社会保障制度を目当てに域内の他の国に移動する「社会保障ツーリズム」の横行を防ぐ […]

ドイツ政府の移民問題に関する諮問委員会は26日、移民の社会保障給付の受給資格を厳格化することなどを柱とした中間報告書をまとめた。自国より整った社会保障制度を目当てに域内の他の国に移動する「社会保障ツーリズム」の横行を防ぐのが狙い。

EUでは原則として加盟国が相互に労働市場を開放し、労働者が国境を超えて自由に移動できるようになっている。2007年にEUに加盟したルーマニアとブルガリアに関しては、移行措置として他の加盟国に就労制限の設定が認められていたが、最大7年の期限が2013年末で終了。今年1月から域内全域での就労が自由化されたため、ドイツでは社会保障の受給目当てに両国から流入する移民が都市部で増加し、住民に間に懸念が広がっている。こうした現状を受け、政府はオズオウズ移民・難民・統合担当国務相と11の省庁の代表で構成される諮問委員会を設置。移民問題に関する検討を行っている。同委は中間報告書で、移民に対する失業手当や児童手当などの社会保障の給付要件を厳格化することや、社会保障の不正受給が判明した移民は国外退去とし、再入国を一定期間禁止すること、就職のための在留期間を3カ月までに制限すること、偽装雇用や闇労働の取り締まり強化などを提言した。

デメジエール内相は中間報告書の発表会で、欧州にとって移動の自由は欠かすことのできない原則であることを認めた上で、「移民に絡む問題が存在するということに目をつぶるべきではない」と強調。移民流入はドイツ全体で見ればさほど大きな問題になっていないが、局地的には憂慮すべき状況になっているとし、「問題が全国的に広がらないよう、対策を講じる必要がある」と述べた。諮問委員会の最終報告書は6月に発表される。

全国3,400の都市・自治体が参加するドイツ全国都市連絡協議会は、中間報告書で示された提言について、「正しい方向を示している」と歓迎する意向を表明するとともに、提言を速やかに実行に移すよう政府に要望した。