2014/3/31

競争法

ルクセンブルクに税務情報提出を命令、租税回避問題めぐり

この記事の要約

欧州委員会は24日、多国籍企業の租税回避問題をめぐり、ルクセンブルクに法人税務に関する情報を提出するよう命じた。 欧州では、米アップルやスターバックス、アマゾンなどの多国籍企業が、事業拠点を税率が低いルクセンブルクやアイ […]

欧州委員会は24日、多国籍企業の租税回避問題をめぐり、ルクセンブルクに法人税務に関する情報を提出するよう命じた。

欧州では、米アップルやスターバックス、アマゾンなどの多国籍企業が、事業拠点を税率が低いルクセンブルクやアイルランドなどに置いて税負担を免れているとして批判が高まっている。この問題の調査を進めている欧州委はこれまで、ルクセンブルクに対し2011年および12年の税務裁定に関するデータと、知的財産関連の優遇税制の適用対象となっている大企業100社に関する詳細な情報の提出を求めてきたが、同国は財政上の秘密保持を理由に、提出を拒否している。欧州委は声明で、ルクセンブルクに1カ月以内に情報を提供するよう命令したことを明らかにするとともに、同国がなお情報提供に応じない場合には、欧州司法裁判所にこの問題を付託する方針を示した。

EUは、債務危機の深刻化で緊縮財政を余儀なくされ、増税や社会保障のカットを行う加盟国が少ない中、多国籍企業による租税回避に厳しい姿勢で臨む構えを見せている。欧州委のアルムニア委員(競争政策担当)は2月、多国籍企業が国家間の税制の違いを利用して合法的に納税額を低く抑えているのは、課税の公平という理念に反する行為だと指摘。「もしどこかの国の法律や税務当局がこうした慣行を後押ししているなら、それは国家による補助金に当たるかもしれない。必ずこの問題を是正する」と語っていた。