2019年12月9日

BMWがデンソーなど提訴、カルテルの損賠請求

自動車大手の独BMWが、サプライヤーであるデンソーと仏ヴァレオのカルテルで損害を受けたとして、ミュンヘン地方裁判所に提訴した。

経済紙『ハンデルスブラット(HB)が確認情報として5日に報じたもので、総額1億4,100万ユーロの損害賠償支払いを請求している。
デンソーとヴァレオは2004年11月から09年5月にかけて、パナソニック、サンデン、カルソニック、独マーレベーアとともに、自動車メーカーに供給するカーエアコンとエンジン冷却装置の価格カルテルを結んでいたほか、情報を交換していた。
カルテルはパナソニックの通報で発覚。欧州連合(EU)の欧州委員会は17年、パナソニックを除く5社に総額約1億5,500万ユーロの制裁金支払いを命じた。制裁額はサンデンが約6,460万ユーロ、マーレベーアが約6,213万ユーロ、ヴァレオが約2,670万ユーロ、カルソニックが約174万ユーロ、デンソーが約32万ユーロ。パナソニックは最初に通報して調査に協力したことから制裁を全額免除された。
同カルテルの被害は独自動車大手ダイムラーとフォルクスワーゲン(VW)も受けている。両社が損賠訴訟を起こすかどうかは不明。
HB紙によると、BMWは自動車ガラスと金属ベアリングの価格カルテルで被害を受けたとして、ロンドンでも損賠訴訟を起こした。

ティッセンクルップ、鉄鋼部門再建へ

独複合企業ティッセンクルップは3日、鉄鋼部門再建策の概要を発表した。

経営の重荷となっていた鉄鋼部門を印タタ製鉄の欧州事業と合併することで財務から切り離す方針だったが、EUの欧州委員会の反対でとん挫したことから、自力再建に切り替える。

また、管理部門もスリム化し、従業員を最大2,000人削減する計画だ。

エールフランスKLM、ヴァージン航空の株式取得を撤回

欧州航空大手のエールフランスKLMは4日、英ヴァージン・アトランティック航空の株式を取得する計画を撤回すると発表した。

さらに、エールフランスKLMとデルタ、ヴァージン・アトランティックは大西洋路線の強化に向けた業務提携でも合意し、合弁会社を設立することになっている。

ヴァージン・グループが合弁事業でのエールフランスKLMの立場について、ヴァージン・アトランティックへの出資を取りやめても変わらないと約束したことから、資金を株式取得より同戦略に回す方が得策と判断したもようだ。

サノフィ、手術用品部門を米社に売却

仏製薬大手サノフィは2日、手術用品部門「セプラフィルム」を米医療機器、医薬品会社のバクスター・インターナショナルに売却することで合意したと発表した。

セプラフィルムは手術用品に特化した部門。

サノフィは大きな成長が期待できる事業に経営資源を集中する戦略に基づき、同部門の売却を決めた。

ダイムラー、タイで電池生産開始

MBCはタイで提携するTAAP、TESMと共同でバンコク工場に総額1億ユーロ強を投じ、既存の車両工場を拡張するとともに、電池工場を新設した。

同工場で生産する「Cクラス」「Eクラス」「Sクラス」「GLC」「GLCクーペ」のプラグインハイブリッド車(PHV)向けに電池を生産する。

同社がタイに電池工場を開設したのはPHVの需要が同国で旺盛なためだ。

テスラ、独法人を設立

同社はベルリン近郊に工場を建設する計画を11月中旬に発表したばかり。

同社はオランダ法人テスラ・インターナショナルの子会社として新会社テスラ・マニュファクチャリング・ブランデンブルクを設立した。

テスラは新会社をドイツ法に基づく株式会社(AG)でなく、欧州連合(EU)法に基づく欧州会社(SE)として設立した。

丸紅の投資子会社、ラトビアのガスインフラ企業に出資

丸紅は5日、子会社のMMキャピタル・パートナーズが運営する投資ファンド「MMキャピタルインフラストラクチャー・ファンド1号」(MMファンド)を通じ、ラトビアのガス会社コネクサス・バルチック・グリッド(CBG)の株式29.6%をルクセンブルクの投資ファンド、マルグリートから取得したと発表した。

現在CBGはラトビア全土でガス輸送を独占して行い、欧州で3番目に大きいガス貯蔵施設であるインチュカルンス・天然ガス地下貯蔵施設を保有している。

MMファンドはOECD(経済協力開発機構)加盟国におけるガス・交通インフラ分野の資産と事業を投資対象としており、CBGへの投資はこの方針に沿ったものとなる。

アウディのハンガリー工場、マイルドハイブリッド車の生産開始

独高級車大手アウディのハンガリー子会社アウディ・フンガリアは5日、ジュール工場でマイルドハイブリッド(MHV)システムを搭載したコンパクトSUV「Q3」とクロスオーバーモデル「Q3スポーツバック」の生産を開始した。

電動パワートレインを搭載した車がハンガリーで生産されるのは初となる。

ジュール工場では昨年、3気筒ガソリンエンジンと、MHV対応の4気筒ディーゼルエンジン、電気モーターの生産が開始された。

独BMWのハンガリー新工場、来春着工へ

独高級車大手のBMWは3日、ハンガリー東部デブレツェン市に新設する工場が来春に着工すると発表した。

BMWは昨年7月にデブレツェン工場建設計画を発表し、今年9月に500ヘクタールの用地を取得した。

欧州生産の強化に向け、約10億ユーロを投じて最大15万台の年産能力を持つ工場を建設する。

現代エレクトリック、ブルガリア変圧器事業を売却

韓国現代重工業グループの現代エレクトリックは4日、ブルガリアの変圧器子会社ヒュンダイ・へビ―インダストリーズ・ブルガリアの売却を決めたことを明らかにした。

1997年に現代重工業が買収し、同社の変圧器とタップチェンジャーの欧州生産拠点となった。

昨年初めに現代エレクトリックの変圧器事業強化戦略の一環として、同社の傘下に入った。

伊樹脂加工シルマックス、ポーランドに第2工場開設

伊樹脂加工メーカーのシルマックスはこのほど、ポーランド中部のクトノに第2工場を開設したことを明らかにした。

自動車産業向けに複合材を生産する。

工場で生産予定の熱可塑性樹脂製品「Xelter」は、自動車のシーリング材や内装部品、付属品、家庭用シーリング材など柔軟性と復元性が求められる分野に使用される。

コソボとアルバニア、電力市場統合で合意

コソボとアルバニアの送電会社は2日、両国電力市場の統合で合意した。

これによってコソボの電力系統はセルビア送電会社EMSの管理から離脱することになるため、コソボ独立を承認していないセルビア政府は強く反発している。

コソボの送電インフラについてセルビアは「セルビアが建設したもの」として自らの所有権を主張している。

露石化大手シブール、BASFと持続可能性の取り組みで提携

両社は新世代のポリマー開発ですでに提携しており、新分野でのシナジー効果にも期待している。

シブールとBASFは今年5月末、シブールがモスクワに新設した研究開発センター「ポリラブ」における新世代ポリマー共同開発で基本合意を交わした。

製造・研究開発でのデジタル技術の活用や、BASFの樹脂添加剤を使った新世代ポリマーの開発に注力する。

露国鉄貨物子会社、シベリア鉄道経由の日本向け貨物輸送に成功

ロシア国鉄(RZD)の貨物輸送子会社RZhDロギスティカはこのほど、シベリア鉄道を経由した国際貨物輸送ルート「シベリアランドブリッジ」(SLB)を利用したドイツのハンブルクから横浜までのコンテナ一貫輸送が成功したことを明らかにした。

同コンテナはハンブルクからポーランド、ベラルーシを経てロシアのウラジオストクまでは鉄路で、ウラジオストクから横浜までは船舶により輸送された。

SLBを活用したコンテナ輸送はすでに今年5月、日本から欧州向けの輸送が開始されている。

米が仏デジタル税めぐり制裁発動へ、シャンパンなど対象に

米通商代表部(USTR)は2日、フランスが導入した「デジタルサービス税」について、米国のIT企業を不当に差別しているとする調査報告書を発表した。

両国政府は8月、同問題での対立を避けるため、フランスが課税分の一部を対象企業に返還するという妥協案で合意したが、米トランプ大統領が受け入れず、外国の不公正な通商慣行に制裁を発動できる通商法301条に基づく制裁を警告していた。

仏政府とEUは米の制裁について反発している。

ユーロ圏、ESM改革と共通預金保険保証制度導入で合意できず

ユーロ圏19カ国は5日に開いた財務相会合で同問題を協議し、ESMの機能強化で原則的に合意したものの、詳細がイタリアの抵抗で決まらず、最終決定を見送った。

現在は銘柄ごとに債権者の合意が必要となるが、ユーロ圏各国が2022年以降に発行する国債については同条件をなくし、債務再編に向けた手続きを簡素化することが検討されている。

ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のセンテノ議長(ポルトガル財務相)は年内最後のEU首脳会議での合意を断念し、来年1月に再協議する意向を表明した。

EU財務相理が仮想通貨への対応決定、リスク解決まで「リブラ」発行認めず

EUは5日開いた財務相理事会で、米フェイスブックが発行を計画している「リブラ」など暗号資産(仮想通貨)への対応について協議し、リスクや監督上の課題が解決されるまで域内での発行を認めるべきではないとの方針を決定した。

財務相理はまた、EU内で欧州中央銀行(ECB)に公的なデジタル通貨の発行を求める動きが出ていることを受け、ECBや各国中銀のデジタル通貨や決済システムのデジタル化に関する取り組みに留意すると表明した。

ECBは理事会に提出した文書で、欧州で現金の利用が縮小すれば公的なデジタル通貨が必要になるとの認識を示したうえで、リスクや悪影響を詳細に分析する必要があると指摘している。

資金洗浄対策でEU共通の監督機関設置へ、財務相理が欧州委に検討要請

EUは5日開いた財務相理事会で、マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与の防止策について協議し、金融機関を通じた資金洗浄をEUレベルで監視する新たな監督機関の設置を検討することで合意した。

2018年6月には第5次マネーロンダリング指令が施行されたが、その後もデンマークのダンスケ銀行が関与した2,300億ドル規模の資金洗浄疑惑が発覚したほか、オランダのINGグループが適切な顧客管理を怠った結果、同行の口座が資金洗浄や不正送金に利用されたとして、7億7,500万ユーロの和解金を支払うことでオランダ検察当局と合意している。

財務相理は声明で、EUレベルで資金洗浄を監視する新たな機関として、「域内の銀行に対して直接的な監督権限を持つ、独立した組織」の設置を検討するよう欧州委員会に要請。

欧州委がフェイスブックとグーグルを調査、個人データ取り扱いめぐり

欧州委員会は2日、米フェイスブックと米アルファベット傘下のグーグルに対し、個人データの収集方法や利用実態などについて予備的調査を開始したことを明らかにした。

欧州委の報道官は欧米メディアの取材に対し、「グーグルとフェイスブックに個人データの取り扱いについて質問状を送付した。データがどのように収集・加工・利用され、広告目的を含めてどのように収益化されているか調査する」と述べた。

欧州委は外部の開発者がフェイスブックのAPIを利用する際の契約内容を精査し、データ利用に関する条件や制限の有無などを調査する方針を示している。

持続可能事業への投資で共通分類ルール導入、欧州議会と加盟国が合意

欧州議会とEU加盟国は5日、気候変動など環境問題の解決に貢献する持続可能な経済活動について、EU共通の分類体系(タクソノミー)を確立することで合意した。

グリーン投資は最も環境性の高い事業を対象としたもので、再生可能エネルギー関連のプロジェクトなどが該当する。

EUタクソノミーをめぐる議論では、天然ガスや原子力の扱いに関して加盟国と欧州議会の間で意見が対立していたが、最終的に加盟国側が歩み寄り、資源循環や生態系といった「他の環境分野に悪影響を及ぼさない(do not harm)」との原則に基づいて、持続可能な投資に該当するかどうか判断することで合意した。

EUの7~9月成長率、前年同期比1.4%に上方修正

ユーロ圏の伸び率は前期比0.2%、前年同期比1.2%で、修正はなかった。

ユーロ圏の前期比の成長率は前期から横ばい。

しかし、設備投資の伸びが0.3%と、前期の5.7%から大幅に縮小した。

ユーロ圏生産者物価、3カ月連続下落

EU統計局ユーロスタットが3日発表したユーロ圏の10月の生産者物価(建設業を除く)は前年同月比で1.9%下落し、上昇率は3カ月連続でマイナスとなった。

下げ幅は前月の1.2%から膨らんだ。

エネルギーの下げ幅は前月の6.1%を大きく上回った。

ユーロネクスト、北欧電力取引所の経営権取得

欧州の多国籍取引所ユーロネクストは5日、北欧の電力取引所ノルドプールの株式66%を取得することで合意したと発表した。

ユーロネクストは今年6月にオスロ証券取引所グループを買収しており、ノルドプールの経営権取得により北欧での事業基盤が大幅に強化される。

ブジュナ最高経営責任者(CEO)は「ノルドプールとの取引が成立すると、北欧市場でプレゼンスを高めると同時に、事業を多角化してコモディティ取引を強化するというユーロネクストの戦略が大きく前進する」と述べた。

VWの現行エンジンにも問題、独検察が立ち入り調査

現在販売しているディーゼル車のエンジン「EA288」に違法性がある疑いが浮上しているため。

同社は4日の声明で、違法性があった先代エンジン「EA189」と異なり排ガスを不正に操作する機能は搭載されていないと強調した。

VWは該当車両のソフトウエアを再インストールして、問題を解決する方針。

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