資金洗浄対策でEU共通の監督機関設置へ、財務相理が欧州委に検討要請

EUは5日開いた財務相理事会で、マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与の防止策について協議し、金融機関を通じた資金洗浄をEUレベルで監視する新たな監督機関の設置を検討することで合意した。

テロ組織への資金供給ルートに利用されやすい資金洗浄を取り締まるため、EUでは「マネーロンダリング指令」の改正を重ねてきた。しかし、国によって犯罪行為の認定や処罰の基準にばらつきがあるためEU全体で有効な対策を取ることができず、資金洗浄の横行を許してきたのが実情。2018年6月には第5次マネーロンダリング指令が施行されたが、その後もデンマークのダンスケ銀行が関与した2,300億ドル規模の資金洗浄疑惑が発覚したほか、オランダのINGグループが適切な顧客管理を怠った結果、同行の口座が資金洗浄や不正送金に利用されたとして、7億7,500万ユーロの和解金を支払うことでオランダ検察当局と合意している。

財務相理は声明で、EUレベルで資金洗浄を監視する新たな機関として、「域内の銀行に対して直接的な監督権限を持つ、独立した組織」の設置を検討するよう欧州委員会に要請。また、現行のマネーロンダリング指令の問題点を洗い出し、不備を補う新たな規制を検討すると共に、関連する当局間で効率的な情報共有を実現するためのメカニズムを構築することなどを求めた。

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