独通信再最大手のドイツテレコムは14日、ドイツとオーストリアの電波塔事業(GDタワーズ)を米投資会社デジタルブリッジとカナダの資産運用会社ブルックフィールドに売却することで合意したと発表した。移動通信サービス業界では5G投資に巨額資金を要することから、通信インフラ事業を売却や新規株式公開(IPO)で手放し、投資資金などを確保する動きが増えている。競合ボーダフォンやテレフォニカ・ドイチュラントはすでにそうした措置を実施。ドイツテレコムも昨年、オランダの電波塔事業を合弁化した。
GDタワーズを175億ユーロ(現金と債務を除く)と評価したうえで、同株51%を譲渡する。ドイツテレコムには現金107億ユーロが入る見通し。売却益で債務の圧縮と米移動通信会社TモバイルUSへの出資比率拡大を図る。年末の取引完了を見込んでいる。
ドイツテレコムはGDタワーズへの出資比率が49%に下がる。今後はGDタワーズが持つインフラをリースバックの形で約30年間、利用する。将来的にGDタワーズを買い戻す権利を持っている。
GDタワーズは独墺で計4万カ所の基地局を展開している。従業員数は800人。2021年の売上高は11億ユーロで、リース後の利払い・税・償却前利益(EBITDA・AL)は6億4,000万ユーロだった。