EU、北マケドニア・アルバニアとの加盟交渉開始

EUは19日、バルカン諸国のうち北マケドニア(旧マケドニア)とアルバニアとの正式な加盟交渉を開始した。両国は何年も前に加盟候補国と認定されながら、次のステップとなる加盟交渉開始が見送られていた。EU加盟に向けて大きく前進したが、加盟実現まで少なくとも数年を要する見込みだ。

北マケドニアは2005年、アルバニアは14年に加盟候補国として認定され、欧州委員会は18年4月に両国との加盟交渉開始を勧告。EUは20年3月に両国との加盟交渉開始で合意していた。

加盟交渉開始が遅れたのは、EUが多くの旧共産圏諸国を短期間に受け入れたことで “拡大疲労”に直面していることを一部の加盟国が懸念したため。北マケドニアに関しては、国名を巡るギリシャとの対立、ブルガリアとの、歴史認識論争も大きな障害となった。

北マケドニアは1991年に旧ユーゴ連邦から独立した際に正式名称を「マケドニア共和国」としたことについて、ギリシャが古代ギリシャの英雄アレキサンダー大王の出身地である同地の名前を全面に出した国名に反発し、加盟交渉開始に拒否権を発動。両国政府が2018年、マケドニアを「北マケドニア共和国」とする妥協案で合意し、決着した。

ブルガリアとの歴史認識問題では、今年上期にEU議長国を務めたフランスが、北マケドニアは国内のブルガリア系少数民族の存在を憲法で認めるといった仲介案を提示。これをブルガリア議会が6月、北マケドニアが7月に受け入れ、ブルガリアが拒否権発動を取り下げた。

バルカン諸国ではスロベニア、クロアチアがEU加盟を果たした。モンテネグロとセルビアが加盟交渉を行っている。今回の決定で加盟交渉は4カ国に拡大する。ただ、今後は経済、政治など様々な分野でEU基準を満たさねばならず、早期の交渉完了、加盟は難しい見込みだ。

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