英政府は20日、イングランド東部のサフォーク州に新たな原子力発電所を建設する計画を承認したと発表した。エネルギーの安定供給に向けたもので、同州サイズウェルに出力3.2ギガワットの原発を設置する。
「サイズウェルC」と呼ばれる同原発は、政府とフランス電力公社(EDF)が出資して、サイズウェルにある既存の原発の隣接地に建設される。最終的な投資計画は2023年に決定の見込みだ。
英国では6基の原発が稼働しているが、うち5基は2030年までに運転期限を迎える。このため、南西部ヒンクリーポイントに新たな原発が建設されているほか、サイズウェルに新設する計画が浮上していた。サイズウェルCはEDFが建設中のヒンクリーポイントの原発と同タイプとなる。
英政府は4月にエネルギー安全保障に関する新戦略を発表。ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格の高騰を踏まえ、自給率を高めて安定供給を確保するため、30年までに原子炉を最大8基新設し、50年までに電力需要の25%を原子力で賄う目標を掲げた。
サイズウェルCをめぐっては、地元住民が環境破壊などを理由に反対していたが、政府は電力供給体制の強化を優先し、承認に踏み切った。