仏オレンジのベルギー社買収、欧州委が本格調査に着手

欧州委員会は7月28日、仏通信大手オレンジがベルギーのケーブル事業者VOOを買収する計画について、EU競争法に基づく本格調査を開始したと発表した。買収によってベルギーの一部地域で寡占化が進み、固定通信と携帯電話の融合サービス(FMC)などの分野で競争が阻害される恐れがあるとみている。欧州委は調査結果に基づいて12月6日までに買収の是非を判断する。

オレンジは2021年12月、ベルギー子会社を通じてVOOの株式75%を取得することで合意したと発表した。オレンジは欧州全域で高速インターネット接続と携帯電話サービスを提供する戦略を進めており、ベルギー南部ワロン地方を中心に事業展開するVOOの買収もその一環。買収が実現すると、オレンジは同地方とブリュッセルの一部でVOOのケーブルネットワークを介した固定電話とインターネット接続サービスのほか、外部ネットワークを利用した携帯電話サービスを提供することになる。

欧州委はオレンジとVOOの取引を認めた場合、VOOとブルテル(Brutele:VOOブランドで固定電話サービスを提供)の固定通信網がカバーする地域では事業者数がこれまでの3社から2社に減り、これによってFMCのほか、固定回線によるインターネット接続や映像サービスなどの分野で競争が阻害される恐れがあると指摘している。ベステアー上級副委員長(競争政策担当)は「詳細な調査を通じ、オレンジによるVOOの買収がサービスの質低下や利用料金の値上げにつながらないことを確認したい」と述べた。

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