EUは首脳会議初日の20日、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアにイランがドローン(無人機)を供与しているとして、イランに追加制裁を科すことで合意した。対象はドローンの供与に関与した個人3人と1団体。同日付のEU官報に制裁対象のリストを掲載し、即日発動した。
ロシア軍はウクライナ各地への攻撃に、イラン製のドローン「シャヘド136」を使用しているとされる。イラン側はロシアへのドローンの供与を否定しているが、EUのボレル外交安全保障上級代表は17日に開かれたEU外相理事会後の記者会見で、情報機関からイランの関与を裏付ける証拠が提出されており、「すべての証拠が揃えば追加的な措置を講じる用意がある」と警告。欧州委員会の報道官は19日の記者会見で「(イランの供与を示す)十分な証拠を集めた」と述べ、ドローンを使ってウクライナ各地のインフラ設備などへの攻撃を続けるロシアを強く非難した。
今回制裁の対象となったのは、ドローンの開発やロシアへの提供に関与したとみられるイランの軍関係者や国防相の担当責任者ら3人と、ドローン製造会社。EU域内の資産凍結とEUへの渡航が禁止される。EUは今後さらに、個人2人と2団体に制裁を科す方針を示している。
ウクライナ政府はロシアによるドローン攻撃を受け、EUや北太平洋条約機構(NATO)などに対してロシアへの制裁強化や、防空システムの供与拡充を求めていた。NATOのストルテンベルグ事務総長は18日、重要インフラを標的としたドローン攻撃から防御できるよう、数日中にウクライナに防空システムを提供すると表明している。