米石油メジャーのエクソンモービルは18日、ロシア市場から完全撤退したと発表した。ロシア政府に同国資産を没収され、「サハリン1」プロジェクトの今後をめぐる協議も一方的に打ち切られたためと説明している。ウクライナ戦争を受けた欧米諸国とロシアの対立が一層鮮明になった格好だ。
エクソンは「資産没収」に関連し、補償があったかどうか明らかにしていない。しかし、国際法および生産物分与契約に基づく法的権利を留保する姿勢だ。 エクソンは今年3月、ロシアのウクライナ侵攻を受けてロシアを撤退する計画を明らかにするとともに、同国への新規投資を停止することを発表した。以来、同社が保有するサハリン沖石油ガス採掘事業「サハリン1」の権益30%の移管をめぐり、協議が続けられてきた。
エクソンによると、同社のロシア資産評価高は昨年時点で40億米ドルを超えていた。また、サハリン1プロジェクトに関連するロシア政府の収入は160億ドルに上っていたという。
エクソンは今年1~3月期に、サハリン1関連資産について34億ドルの税引き後費用を計上した。そのうえで、グループの生産量に占めるロシアの割合は2021年に2%弱(日量約6万5,000バレル)、営業利益では1%だったとし、影響が限定的だという見方を示した。 ロシアでは14日、「サハリン1」を引き継ぐ新会社が設立された。同事業には日本の経済産業省と伊藤忠商事、石油資源開発(JAPEX)、丸紅、国際石油開発帝石(INPEX)も参加している。これまでのところ、経産省は参加を継続する意向を示している。