イタリアのメローニ首相は3日、就任後初めての外国訪問としてベルギーの首都ブリュッセルを訪れ、EU首脳らと相次いで会談した。メローニ氏はロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐり、対ロ制裁やウクライナ支援でEUと連携する考えを強調した。
メローニ氏はEU本部でミシェル大統領、欧州議会のメツォラ議長、フォンデアライエン欧州委員長と会談し、ウクライナ情勢やエネルギー価格高騰への対応策、移民問題などについて協議した。メローニ氏は会談後、記者団に対し「欧州の一員として他の国々とともに最善の解決策を探りながら、イタリアの国益を守りたいというシグナルを送っていきたい」と発言。「(EU首脳と)直接会って話し合ったことは、私自身とイタリア政府に関するストーリーを取り払うのに役立つだろう。われわれは火星人ではなく、血の通った人間だ」と語った。
メローニ氏は独裁者ムソリーニが率いたファシスト党の流れをくむ極右「イタリアの同胞(FDI)」の党首を務め、右派「同盟」および中道右派「フォルツァ・イタリア」との連立政権は移民排斥を掲げている。メローニ氏自身も過去に反EU的な言動が目立ったものの、最近は過激な発言が影を潜め、自国優先を掲げる一方で、EUや北大西洋条約機構(NATO)との連携を軸に、国際協調を重視する姿勢を示している。
ただ、フォルツァ・イタリアを率いるベルルスコーニ元首相はプーチン大統領との関係が深く、副首相を務める同盟のサルビーニ党首西側諸国による対ロ制裁に懐疑的。このためEU内では対ロ制裁やウクライナ支援でイタリアが足並みを乱すことへの警戒感が根強く、メローニ氏は今回の訪問でこうした懸念の払拭に努めたもようだ。