欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2022/11/14

EU情報

23年のユーロ圏成長率、0.3%に下方修正=欧州委

この記事の要約

欧州委員会は11日に発表した秋季経済予測で、ユーロ圏の2023年の域内総生産(GDP)実質伸び率を0.3%とし、前回(7月)の1.4%から大幅に下方修正した。ロシアのウクライナ侵攻長期化によるエネルギー価格の高騰、物価高 […]

欧州委員会は11日に発表した秋季経済予測で、ユーロ圏の2023年の域内総生産(GDP)実質伸び率を0.3%とし、前回(7月)の1.4%から大幅に下方修正した。ロシアのウクライナ侵攻長期化によるエネルギー価格の高騰、物価高などが景気を圧迫し、10~12月期から2期連続でマイナス成長となり、景気後退入りすると予想している。(表参照)

ユーロ圏ではコロナ禍に伴う行動制限が緩和され、経済再開が進んでいることで、GDPが22年1~3月は0.6%増、4~6月期は0.8%増と堅調だった。しかし、7~9月期に0.2%増と失速。今回の予測では22年通期の予想成長率は3.2%とし、前回の2.6%から引き上げたものの、10~12月から23年1~3月期にかけてマイナス成長となり、景気後退に陥る見通しだ。24年には1.5%増まで回復すると見込んでいる。

失速の要因はエネルギー高騰、それを受けた記録的な物価の上昇。このほか、欧州中央銀行(ECB)が金融引き締めに転じたことや、世界的な貿易の停滞もあって、欧州委は23年の予想成長率を大きく引き下げた。

特に懸念材料となっているのが物価高。予想インフレ率は22年が8.5%、23年が6.1%で、それぞれ前回の7.6%、4.0%から大幅に上方修正した。

独はマイナス成長に

EU27カ国ベースの予想成長率は22年が3.3%、23年が0.3%。それぞれ前回予測の2.7%、1.5%を大きく下回る。24年は1.6%。ジェンティローニ委員(経済担当)は「EU経済はターニングポイントにある」と述べ、景気悪化への強い懸念を示した。

主要国の23年の予想成長率はドイツがマイナス0.6%となり、前回のプラス1.3%から1.9ポイント下方修正された。ロシア産天然ガスへの依存度がEU諸国の中でも高いことから、エネルギー危機の影響が大きく、経済が落ち込むのは避けられないとしている。

フランスは0.4%、イタリアは0.3%、スペインは1.0%で、それぞれ1.0ポイント、0.6ポイント、1.1ポイントの幅で引き下げられた。