欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2022/11/21

EU情報

ブルガリアなど3カ国のシェンゲン協定参加、12月に承認か

この記事の要約

欧州委員会は16日、欧州内での人の自由な移動を保障するシェンゲン協定について、ブルガリア、ルーマニア、クロアチアの参加を認めるようEU加盟国に勧告した。加盟国は12月に可否を判断する。シェンゲン協定は加盟国間を出入国審査 […]

欧州委員会は16日、欧州内での人の自由な移動を保障するシェンゲン協定について、ブルガリア、ルーマニア、クロアチアの参加を認めるようEU加盟国に勧告した。加盟国は12月に可否を判断する。

シェンゲン協定は加盟国間を出入国審査なしで、パスポートを携帯しなくても行き来できるようにするもの。現在はEU加盟27カ国のうちアイルランド、キプロス、ルーマニア、ブルガリア、クロアチアを除く22カ国と、非加盟国のノルウェー、スイス、アイスランド、リヒテンシュタインを加えた計26カ国が参加している。

シェンゲン圏では、圏外の国からの旅行者が国境検査を経て入国すれば、圏内の他の国もパスポートなしで自由に旅行できるため、参加国は犯罪者などの入国を阻止するため厳しい国境管理を求められる。

2007年にEU加盟を果たしたルーマニアとブルガリアは、2011年に協定参加の可否の審査を終えたが、一部の加盟国が汚職、組織犯罪対策の不備を問題視し、加盟が先送りされてきた。クロアチアは21年12月に加盟国から必要な条件をすべて満たしたと認定され、加盟が秒読み状態となっていた。

欧州委は今回、ルーマニアとブルガリアも協定加盟に必要な条件を全面的に満たした判断。クロアチアを含む3カ国の参加を「これ以上、遅らせることなく認める必要がある」として、加盟国に12月8日に開く司法・内務理事会で承認するよう呼びかけた。

承認されれば、11年にリヒテンシュタインが協定に参加して以来の新規加盟となる。これによってシェンゲン圏は29カ国に拡大する。