英国で新政権がEUと「スイス方式」の関係を築き、通商障壁を撤廃することを目指しているとの観測が浮上している。英領北アイルランドの通商ルールをめぐるEUとの摩擦を解消すると同時に、悪化している景気のてこ入れにもなることが利点だが、スナク首相は21日、明確に否定した。
スイスはEUに加盟していないが、EUとの自由な人の移動を認め、EU予算に拠出することなどを条件にEU単一市場にアクセスできる。ただし、食品衛生など多くの分野でEUのルールに従う必要がある。
英国内ではハント財務相が先ごろ、BBCとのインタビューで「EUとの自由な貿易が英国の経済成長に大きく寄与する」と述べ、EUとスイスと同様の関係を英国が再構築することに前向きの姿勢を表明。20日付の英サンデー・タイムズは、政府高官への取材に基づき、政府が自由な人の移動を除いて、スイス方式の関係構築を目指していると報じた。
これに対して、英外務省は即座に「事実無根だ」として、報道内容を否定。スナク首相も英産業連盟(CBI)の会合で行った演説で、「EUのルールに従わなければならないような関係を求めるつもりはない」と述べた。