スペイン政府は22日、住宅ローンの返済で家計が苦しい世帯への支援策を閣議承認した。欧州中央銀行(ECB)が金融引き締めに転じたことで変動金利が上昇し、貸し倒れリスクが高まっていることを受けた措置。低所得世帯を中心に、銀行が金利を下げることなどが柱となっている。
同支援策では年間所得が2万5,200ユーロ(約370万円)を下回る世帯について、住宅ローンを借り入れてから5年以内に借り換え、金利を欧州銀行間取引金利(EURIBOR)マイナス0.1%に引き下げることができるようにする。元本返済の遅延に対する延滞金の免除、返済期間の最長7年延長も盛り込まれた。
所得が2万9,400ユーロ以下の中間所得層に関しても、住宅ローン支払い額が世帯所得の30%を超える場合は12カ月間の支払い猶予、元本の金利引き下げ、返済期間の7年延長を認める。
スペインでは持ち家率が人口の4分の3と高い。一方、大半が変動金利のローンを組んでおり、利上げで大きな影響を受ける。政府は物価高で家計が厳しくなっていることも考慮し、支援策を決めた。100万世帯以上が対象になるとみられる。
この支援策実施には銀行の協力が必要。政府は21日、銀行側と基本合意したものの、同措置によって必要となる貸倒引当金の上積み幅など詳細は未定。業界団体と最終合意した上で、23年から実施することを目指す。
ただ、銀行業界では住宅ローンの審査が厳しくなるなど、弊害が大きいとして難色を示す動きもあり、曲折が予想される。