スコットランド独立めぐる住民投票、英最高裁「英政府の同意必要」

英最高裁は23日、スコットランド自治政府が計画している英国からの独立の是非を問う住民投票について、英政府の同意なしに実施することはできないとの判断を下した。英政府は反対しており、2014年に続く2度目の住民投票の実施は事実上困難になった。

スコットランド行政府のスタージョン首相は6月、23年10月に住民投票を実施する計画を発表した。しかし、当時のジョンソン政権は否定的な見解を示したため、自治政府側は英政府の同意なしに合法的に住民投票を実施することが可能か、最高裁の判断を仰いでいた。

最高裁のリード長官は判決で、スコットランド自治議会とスコットランド行政府の設立を定めた1998年のスコットランド法を根拠に、住民投票を実施する権限は英議会にあり、「スコットランド自治議会は(住民投票を)立法化する権限を持たない」と指摘。全会一致で住民投票には英政府の同意が必要との結論に至ったと述べた。

スタージョン氏は判決を受け、「スコットランドの人々が意思を表明できる民主的な別の手段を見つけなければならない」と述べ、引き続き住民投票の実施を目指す方針を強調。25年1月までに実施される英議会下院の次期総選挙でスコットランドの分離独立を争点に据え、事実上の住民投票としたい考えを示した。

スコットランド独立をめぐり、14年の住民投票では賛成45%、反対55%で独立が否決された。英国は16年に国民投票でEUからの独立を決定したが、スコットランドでは約6割がEU残留を支持したことから、離脱を強行した英政府への反発が強まり、再び独立を求める声が高まった。ただ、新型コロナウイルス禍で傷んだ経済を独立後に自力で立て直せるか懸念する有権者も多く、世論調査では独立賛成派と反対派が拮抗している。

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