EUと西バルカン地域6カ国は6日、アルバニアの首都ティラナで首脳会議を開き、6カ国のEU加盟プロセスを加速させることを盛り込んだ「ティラナ宣言」を採択した。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻や、中国とロシアがバルカン半島で影響力を強めている現状を踏まえ、EUは6カ国と一段の関係強化を図る方針を示すとともに、EU加盟に向けた「完全かつ明確なコミットメント」を再確認した。
会議には欧州委員会のフォンデアライエン委員長、EUのミシェル大統領、ボレル外交安全保障上級代表らと、モンテネグロ、北マケドニア、アルバニア、コソボ、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナの首脳が参加した。
宣言には、6カ国がEU加盟に向けて汚職対策や司法改革などの取り組みを一層加速させることで、「公正かつ厳格な条件」に基づいて加盟プロセスを加速させることができると明記。ロシアのウクライナ侵攻については「欧州と世界の平和と安全を危険にさらしていると非難し、EUと西バルカン諸国の戦略的パートナーシップの重要性を強調した。
フォンデアライエン氏は声明で「西バルカン諸国で初めて開催された今回の首脳会議は、同地域に対する関与、結束、そして強いパートナーシップに関するEUの明確なメッセージを示している。EUは西バルカンのパートナーとともに、共通の未来に向けてこれまで以上に取り組みを強化している」と強調した。また、ミシェル氏は会議後の記者会見で「西バルカン諸国がEUに加われば、子どもたちの未来はより安全で豊かなものになる」と指摘。15-16日に開くEU首脳会議で、ボスニアの加盟をめぐり「前向きなシグナル」が出ることを期待すると述べた。
1年前の会議では、EU側が7年間で約300億ユーロ(約4兆3100億円)を投じて西バルカン地域のインフラ整備や気候変動対策などを支援する計画を承認しており、今回は投資計画の実施状況を検証する機会となった。欧州委によると、これまでにデジタル移行や持続可能な輸送システム、クリーンエネルギー、人材開発など合わせて40の帰艦プロジェクトが採択されており、EUからの支援額は57億ユーロとなっている。