ラトビアが半導体生産の強化に向けて動き出した。11月29日-30日に首都リガで開催された第5世代移動通信(5G)技術の第5回年次フォーラム「5G Techritory」で、半導体を取り巻く国内環境の拡充を目的とする覚書に国内の産官学の12団体が署名した。開発製造能力の底上げを通じて半導体の国産化を拡大するとともに、他地域のチップに依存する欧州連合(EU)の独立にも貢献する狙いだ。
覚書は、マイクロチップ・エコシステムの構築、教育・研究能力の開発、半導体サプライチェーン全体での開発製造能力の育成という3つの内容を柱とする。署名したのは、リガ工科大学、ラトビア大学、ラトビア大学数学・コンピューターサイエンス研究所、ラトビア大学固体物理学研究所、移動体通信サービス大手LMT、ITサービスのミクロティク(MikroTik)、インターネットサービスのTET、ラトビア電子通信局、リエパーヤ経済特区、ラトビア雇用者協会、ラトビア経済省および教育科学省の計12団体。
同国の電子・光学機器製造部門は2010年以来、最も成長しており、22年には同国の生産高に占める割合が10年の3.7%から7%に伸びるとみられている。製品の約90%が輸出向けで、ミクロティクをはじめハンザマトリクス(HansaMatrix)、ライトスペース・テクノロジー(Lightspace Technologies)、SAFテクニカ(SAF Tehnika)などの有名企業がある。また、LMTなどの民間技術を活用して第5世代移動通信(5G)のテストベッドや研究拠点を設けており、本格的な規模で半導体開発を行うために必要な条件が揃っている。
EUは世界の半導体生産に占めるシェアを現在の9%から、2030年までに20%以上に引き上げるという目標を掲げている。関係者の間では今回の覚書は、アジア製チップへの依存を減らし、高付加価値の産業を欧州にもたらすという願望を反映したものと受け止められている。
「5G Techritory」はラトビア投資開発庁(LIAA)と欧州地域開発基金(EFRE)の支援を受け、ラトビア電子通信局により組織されている。参加協力機関に、国際電気通信連合(ITU)、ラトビア環境・地域開発省、LMT、北欧閣僚理事会および北欧理事会、ラトビアのデジタルアクセラレーターがある。