欧州中央銀行(ECB)は15日に開いた定例政策理事会で、インフレ対応として政策金利を0.5ポイント引き上げることを決めた。利上げは4会合連続。ただ、景気後退への懸念から、上げ幅は過去2回の0.75ポイントから縮小した。
主要政策金利は2.0%から2.5%、民間金融機関が余った資金をECBに預け入れる際の金利(中銀預金金利)は1.5%から2.0%に引き上げられる。新金利は21日から適用される。
ユーロ圏ではロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格の高騰、サプライチェーンの混乱などを受けて急激な物価高が続いており、ECB は7月に11年ぶりの利上げを実施。政策金利を0.5ポイント引き上げた。9月と10月には金融引き締めのペースを加速し、利上げ幅を通常の3倍となる0.75ポイントに拡大した。
今回の理事会で利上げ幅を0.5ポイントに抑えたのは、ユーロ圏で景気が悪化しており、22年10~12月期と23年1~3月期にマイナス成長となって景気後退入りするのが確実視されているため。11月のインフレ率がエネルギー価格の上昇に歯止めがかかり、1年5カ月ぶりに鈍化したことも大きい。
ECBは同日発表した最新の内部経済予測で、ユーロ圏の22年の成長率を3.4%とし、前回(9月)の3.1%から上方修正したが、23年については0.9%から0.5%に下方修正した。インフレ率は22年が8.4%、23年が6.3%で、それぞれ前回の8.1%、5.5%から大きく引き上げた。
ラガルド総裁は記者会見で、当面はインフレ率が高止まりするとして、利上げを継続する意向を表明。23年2月以降に少なくとも3回、それぞれ0.5ポイントの追加利上げが必要になるとの見通しを示した。
また、コロナ禍前から実施してきた「資産購入プログラム(APP)」(7月1日に終了)で買い入れた国債などの資産の保有について、23年3月から6月末にかけて月平均150億ユーロのペースで減らしていく「量的引き締め」を進める方針も打ち出した。詳細は2月に開かれる次回の理事会で決める予定だ。