森林開拓地での生産品の販売規制法案、加盟国と欧州議会が合意

EU加盟国と欧州議会は6日、世界中の森林開拓地で生産された農産物、木材などのEU域内での販売を厳しく制限する法案について合意した。事業者に対して、扱う製品が違法伐採などによって開発された農地で生産されたものでないことの確認を義務付けるのが柱。新ルールは加盟国、議会がそれぞれ合意内容を承認した上で、近く発効となる見通しだ。

対象となるのはパーム油、牛肉、木材、コーヒー、カカオ、ゴム、大豆と、それらの派生製品(チョコレート、家具、コピー用紙など)。2020年12月31日以降に開拓された農地で生産された場合は域内での販売を禁止する。EU域内で事業展開する企業に対して、販売する製品が森林伐採と無関係であることを立証するデューデリジェンス(適正評価手続き)の実施を義務付ける形で実施する。違反した企業にはEU域内での売上高の4%以上に相当する額の罰金を科す。

欧州委員会は21年11月、森林破壊を防止するため、同法案を発表。加盟国は承認したが、欧州議会は9月、欧州委案より1年前倒しとなる19年12月31日以降の開拓地に適用することや、対象品目を拡大する修正案を可決したため、双方での調整が必要となっていた。

合意した案では、適用対象を欧州委の原案に沿った20年12月31日以降の開拓地とすることで欧州議会側が譲歩。一方、対象品目拡大については欧州議会側の要求が一部認められた。

このほか、合意案には対象品目を扱う事業者がルールを順守しているかどうかのチェックを各加盟国の当局が実施することが盛り込まれた。違法伐採などのリスクが高い国からの輸入について、全事業者の9%に抜き打ち検査を行う。中リスク国の場合は3%、低リスク国では1%を対象に実施する。

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