英政府が大規模な金融規制緩和策を発表、EU離脱でルール刷新

英政府は9日、30以上の項目から成る金融規制緩和策を発表した。EU離脱に伴い、独自に規制の枠組みを構築できるようになった利点を生かし、負担の大きいEUルールを廃止するなどしてロンドンの金融街シティーの地位向上を図る。

財務省は今回の規制緩和について、「規制改革に対する政府のアプローチは、国際金融センターとしての英国の成功を支える機敏性と、高い水準の規制基準、開放性を維持することだ」と説明している。EU離脱を機に、金融機関が主要部門の機能や人員をロンドンからアムステルダム、パリ、フランクフルトに移転する動きがみられたが、サッチャー政権下で実施された「ビッグバン(金融大改革)」以来の大規模な規制緩和を通じ、再び金融サービスのハブとしての競争力強化を図る。

柱となるのは、大手銀行を対象に、高リスクの投資銀行部門とリテール部門の分離を義務付ける「リングフェンス」と呼ばれる規制の見直し。2008年の世界金融危機への対応策として導入されたもので、リテール部門を他部門で生じた損失から守ることが目的だったが、投資銀行部門の規模が比較的小さい銀行は規制の対象から除外し、銀行の負担を軽減する。

改革案にはこのほか、中小金融機関を対象とする資本要件の緩和、証券化や空売りに関する規制の見直し、英国での新規株式公開(IPO)の促進を目的とした企業の目論見書の見直しなどが盛り込まれている。

ハント財務相は「EU離脱で金融規制を再構築する機会を得た。このメリットを生かして英国民と企業の利益になる規制の枠組みを確立し、金融サービス部門の競争力強化を図る」と強調した。

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