EUと東南アジア諸国連合(ASEAN)は14日、ブリュッセルで首脳会議を開き、相互利益と平等原則に基づく戦略的パートナーシップの強化を盛り込んだ共同声明を採択した。EUはASEANのインフラ整備を支援するため、2027年までに100億ユーロ(約1兆4,400億円)を投資すると表明した。
EUとASEANの外交関係樹立45年を記念して開催された今回の会議には、EU27カ国と軍事政権のミャンマーを除くASEAN9カ国の首脳が参加。双方は平和と安全、経済協力と貿易、持続可能な開発、気候変動とエネルギー、デジタル化の推進など、幅広い分野での協力関係について協議した。
EUが表明したインフラ投資は、中国が主導する「一帯一路」構想に対抗するため、欧州委員会が21年12月に打ち出した域外向けのインフラ投資計画「グローバル・ゲートウェイ」の一環。エネルギー、輸送、デジタル分野のインフラが主な投資対象となる。
通商分野では、世界貿易機関(WTO)を中心とした国際ルールに基づく多国間貿易体制を強化する方針で一致した。EUはシンガポール、ベトナムと自由貿易協定(FTA)を締結しており、インドネシアとも交渉を進めている。欧州委員会のフォンデアライエン委員長は会議後の記者会見で「ASEANとのFTA締結が最終的な目標だ」と語った。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に関しては、「ウクライナの主権、政治的独立、領土の一体性を尊重する」との文言を共同声明に盛り込んだ。ただ、対ロ関係をめぐる各国の立場の違いを反映して、「大半の国」がロシアの侵攻を強く非難する一方、制裁や現状認識については「異なる意見や評価があった」と併記した。