銀行による暗号資産(仮想通貨)の保有に関する規制をめぐり、欧州委員会は国際金融規制などを議論するバーゼル銀行監督委員会が設定した期限に間に合うよう、法整備を急ぐ必要があると訴えた。ロイター通信が20日、独自に入手した非公式の協議文書をもとに報じた。
バーゼル委は2022年12月、銀行による暗号資産の保有を制限する国際的な規制の導入を決めた。暗号資産は価格が乱高下しやすいため、保有を制限することで銀行経営に対するリスクを減らし、金融システムを守る狙いがある。暗号資産を安全性の高いものと、リスクが高いものに分類し、裏付け資産がないビットコインのような高リスク資産を保有する場合、保有残高を自己資本の2%未満に抑えるとともに、同額の自己資本を保有するよう義務付けることなどが柱。2025年1月までの適用開始を目指す。
協議文書によると、欧州委は「当面の間、銀行による暗号資産へのエクスポージャーは極めて低く、暗号資産に関連したサービスの提供は限られる。ただし、顧客のために暗号資産を取引したり、関連するサービスの提供には関心を寄せている」と分析。バーゼル委が設定した期限までに国際ルールに対応したEU規制を導入できなければ、域内の銀行は市場への参入が遅れ、競争で不利な立場に置かれる恐れがあると警告した。
EUは新たに関連法を制定するか、既存の銀行規制を改正することで対応が可能。協議文書によると、欧州議会と閣僚理事会は銀行規制の改正に向けて最終段階の協議を行っており、そこに暗号資産の保有に関する条項が盛り込まれる可能性がある。欧州委は「これによって暗号資産へのエクスポージャーに関する要件が明確になり、銀行は暗号資産がもたらすリスクに適切に対応できるようになる」と指摘している。