仏パリとオランダのアムステルダムを本拠とする欧州の多国籍取引所ユーロネクストは22日、金融機関向けファンド・ディストリビューション・プラットフォームを運営するスペインのオールファンズに買収を提案したと発表した。事業の多角化が狙い。買収額は55億ユーロに上る。
現金支払いと株式交換を組み合わせた方式での買収を提案した。1株当たりの買収額は8.75ユーロ。現金部分が5.69ユーロとなる。
オールファンズは資産運用会社と金融機関を接続するファンド・ディストリビューション・プラットフォームを運営する企業。米投資会社ヘルマン&フリードマン(H&F)が筆頭株主で、34.3%を出資している。このほか、仏大手銀行BNPパリバが12.1%を出資する。
ユーロネクストは21年にイタリア取引所を44億ユーロで買収するなど、事業拡大を進めている。証券取引所業界で資産価値変動の影響を軽減するため、事業の多様化が進む中、オールファンズに目を付けた。
ユーロネクストによると、オールファンズの取締役会は買収提案を検討中。また、大株主のH&F、BNPパリバと協議を行っている。
買収額はオールファンズの21日時点の時価総額46億ユーロを上回るが、上場時の72億ユーロを下回る。市場ではユーロネクストが買収額を引き上げるとの観測が広がり、買収提案発表直後にオールファンズの株価は29%高の9.445ユーロまで高騰した。