仏の内閣不信任案が否決、年金改革巡り

仏マクロン大統領が年金改革法案を強行採択したことに反発する野党が提出した内閣不信任案が20日、下院の国民議会で僅差で否決された。これによって年金改革は実現に近づいたが、野党や多くの国民は依然として反対しており、抗議デモは収まっていない。

政府が1月に発表した年金改革法案は、受給開始年齢を現行の62歳から段階的に引き上げ、2030年に64歳とする内容だ。

同法案は上院を通過したが、与党連合が過半数割れしている下院では可決が見込めないため、マクロン政権は16日、採決なしで首相が採択できる憲法の規定を適用し、強引に採択に持ち込んだ。これに抗議する野党側は17日、内閣の不信任決議案を提出していた。

下院の採決では、不信任に賛成が予想を上回る278票に達したが、可決に必要な287票には9票届かなかった。

野党側はなお抵抗を続ける構えで、憲法裁判所に違憲かどうかの審査を要請する。審査を通過すれば、年金改革が実施される。

国内では年金改革法案に対する抵抗が強く、各地でデモやストライキが続いており、強行採択の直後にはデモが展開され、パリでは一部が暴徒化した。内閣不信任案は否決されたものの、混乱が収まる気配はなく、ストやデモが続く見通しだ。

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