EU統計局ユーロスタットが3月31日に発表したユーロ圏の同月のインフレ率(速報値)は前年同月比6.9%となり、前月の8.5%から1.6ポイント低下した。インフレ率の鈍化は5カ月連続で、22年2月以来の低水準まで縮小。下げ幅はユーロスタットが統計を開始した1991年以降で最大となった。(表参照)
ユーロ圏のインフレ率は、ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギーの急激な値上がりの影響で跳ね上がり、22年10月には過去最高の10.6%に達した。その後はエネルギー高に歯止めがかかり、縮小傾向にある。3月のエネルギー価格は0.9%低下し、上昇率はマイナスに転じた。
ただ、工業製品は6.6%、サービスは5.0%と、依然として高水準で推移。欧州中央銀行(ECB)が金融政策決定で重視する基礎インフレ率(価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いたインフレ率)は前月を0.1ポイント上回る5.7%となり、過去最高を更新した。このため、2022年7月から6会合連続で利上げを実施したECBが、景気、金融不安よりインフレ抑制を優先し、次回の定例政策理事会で追加利上げを決める可能性がある。
主要国のインフレ率はドイツが7.8%、フランスが6.6%、イタリアが8.2%、スペインが3.1%だった。