域外第三国による「経済的威圧」に対抗措置発動、加盟国と欧州議会が合意

EU加盟国と欧州議会は3月28日、EUに対する第三国からの「経済的威圧」に対抗するための新制度を導入することで合意した。主に中国を念頭に置いたもので、EUや加盟国に経済的な圧力をかけて政策変更を迫る域外国に対し、欧州委の権限で追加関税や域内市場へのアクセス制限などの対抗策を講じられるようにする。

同制度は貿易や投資などの経済的手段を利用して、外交や気候変動などの分野でEUや加盟国に政策を変更させようとする第三国の動きを阻止するのが狙い。EUまたは特定の加盟国が第三国から経済的威圧を受けていると欧州委が判断した場合、まずは交渉を通じて当該国に是正を求めたうえで、改善されなければ「最後の手段」として報復措置を発動する仕組みとなる。

同措置には輸入関税引き上げ、輸出入のライセンスはく奪、EUの公共調達、サービス市場へのアクセス制限などが含まれる。対抗措置発動には、加盟国が特定多数決(加盟国の人口に応じて票数を割り当てる投票制度)で支持することが条件となる。

欧州委員会は2021年12月に同制度の導入を提案した。リトアニアが台湾の大使館に相当する代表機関の設置を認め、首都ビリニュスに「台湾代表処」を開設したことに中国が猛反発し、報復措置としてリトアニア製品の通関や輸入申請を拒否したり、EU加盟国の企業に対しリトアニア産の原材料をサプライチェーンから排除するよう圧力をかけたことが背景にある。

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