米インターネット検索サービス大手グーグルが検索結果を自社に有利になるよう操作しているとの疑いで欧州委員会が調査を進めている問題で、欧州委のフェスターガー委員(競争政策担当)は11日、各方面から寄せられた意見などを慎重に見極めたうえで、今後の対応について判断する考えを示した。同事案は当初、欧州委の新体制が発足する11月までに和解が成立するとみられていたが、グーグルが提示した改善策に対してライバル社から相次いで苦情が寄せられ、現在も調査が継続されている。
欧州委はグーグルが欧州の検索市場における独占的地位を乱用し、ネット検索機能で自社関連のサービスをライバル社よりも優先的に表示していると主張する競合他社からの訴えを受け、2010年11月に調査を開始。12年3月にグーグルが競争法に違反しているとの初期判断を示した。グーグルは巨額の制裁金を回避するため、昨年末までに3回にわたり欧州委に改善策を提示。新たに検索結果で競合企業のロゴやリンク先のサイトを目立たせるなどの是正策を打ち出した。
これを受けて欧州委は今年2月、グーグルの提案を受け入れて同社に対する調査を打ち切る方針を固めた。しかし、利害関係者に意見を聞く市場テストを実施したところ、マイクロソフトをはじめとする競合他社から20件以上の苦情が寄せられたため、アルムニア前委員は任期中の決着を断念し、グーグルに対してさらなる改善策を求めた。
フェスターガー委員は欧州議会の公聴会で、「関係する各方面から寄せられた意見を検証するとともに、検索市場における最新の動向をチェックしたうえで今後の対応を検討する」と発言。グーグルの事案は「多くのプレーヤーに影響を与える可能性があり、多面的で複雑」であるため、「次のステップに進むためにもうしばらく時間が必要だ」と述べた。