伊大手銀行のウニクレディトは4月27日、「AT1債」と呼ばれる劣後債を早期に償還すると発表した。経営危機に陥っていたスイス金融大手クレディ・スイスのUBSによる救済買収に伴い、クレディ・スイスが発行したAT1債の元本をゼロとし、無価値化したため、AT1債の利回りが上昇していることを受けた措置となる。
償還するのは総額12億5,000万ユーロのAT1債。満期を待たず、6月3日に償還することが欧州中央銀行(ECB)から認められ、実施する。
AT1債は2008年の世界金融危機で銀行の救済に多額の公的資金が投入された反省を踏まえ、銀行が自己資本の不足に備えて導入が進んだ。発行した銀行の財務が悪化した場合、普通株に転換するなどして自己資本に組み入れることができる。
クレディ・スイスのAT1債が無価値となったことで、欧州の銀行が発行するAT1債への信用が低下し、利回りが上昇していることから、ウニクレディトは早期償還を決めた。