欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/4/7

EUその他

カード手数料にEU共通の上限設定、欧州議会が規制案可決

この記事の要約

欧州議会は3日の本会議で、クレジットカードとデビットカードの決済手数料に上限を設ける規制案を賛成多数で可決した。欧州のクレジットカード市場で合わせて9割超のシェアを占めるビザ・ヨーロッパとマスターカードは、欧州委員会によ […]

欧州議会は3日の本会議で、クレジットカードとデビットカードの決済手数料に上限を設ける規制案を賛成多数で可決した。欧州のクレジットカード市場で合わせて9割超のシェアを占めるビザ・ヨーロッパとマスターカードは、欧州委員会による競争法違反調査の過程で国境を越えた取引に係る決済手数料の大幅な引き下げに合意しているが、他のクレジットカードにも共通ルールを適用して手数料水準を全体として引き下げ、個人や企業を対象としたリテール決済サービスの競争を促進する。EU閣僚理事会で規制案について検討し、5月の欧州議会選挙後に本会議で改めて採決を行う。

欧州委によると、EU内では年間100億ユーロ超の「インターチェンジフィー」と呼ばれる手数料が加盟店側からカード発行会社に支払われており、こうした「不当に高い」手数料が小売価格に転嫁され、結果的に消費者の負担増につながっている。さらに手数料水準は国によってばらつきが大きく、リテール決済サービス分野における単一市場の実現を妨げる要因になっている。

規制案によると、新ルール発効から1年間の移行期間を設け、クレジットカードは利用額の最大0.3%、デビットカードは同0.2%または0.7ユーロのどちらか低い金額を手数料の上限に設定する。まず、国境を越えたカード決済に上限を適用し、移行期間後は国内でのカード利用時にも同じ率を適用する。欧州委は同措置により、カード決済手数料が従来の半分程度まで下がり、加盟店側は年間約60億ユーロの節減が可能と試算している。

一方、本会議ではオンライン決済サービスの安全性を高め、消費者保護を図るための法案も賛成多数で可決された。決済システムの進化や取扱い件数の急増を背景に、紛失や盗難カードの不正使用などによる被害が増加している現状に対応するための措置。具体的には本人の同意がない決済については24時間以内に返金に応じなければならないほか、カードの不正使用などによって損害が生じた場合、加盟店に最大50ユーロの負担を義務づけるルールなどが盛り込まれている。