欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/12/15

総合 – 欧州経済ニュース

ECBの長期資金供給、2回目も需要低調

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏のデフレ回避、景気対策として実施している新たな長期資金供給オペ(LTRO)の需要が低調だ。11日に行った2回目のオペでは306銀行が応札し、供給額は初回(9月)の826億ユーロから1,29 […]

欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏のデフレ回避、景気対策として実施している新たな長期資金供給オペ(LTRO)の需要が低調だ。11日に行った2回目のオペでは306銀行が応札し、供給額は初回(9月)の826億ユーロから1,298億ユーロに増えたが、想定を大きく下回った。これを受けて、ECBが切り札として温存してきた国債購入に踏み切るとの観測が一層強まってきた。

ECBが6月に実施を決めた長期資金供給策は、銀行の貸し渋りを解消し、ユーロ圏経済を底上げするのが狙い。9月から16年6月まで3カ月ごとにオペを実施し、政策金利に0.1%を上乗せした低利の長期資金を供給する。返済期間は各オペとも18年9月で、初回オペでの借り入れは返済期間が4年となる。

ECBは2011年12月から13年2月にかけて、ユーロ圏の銀行に過去最長となる3年物の低利資金を無制限で供給したが、資金の用途は限定されておらず、貸し渋り解消効果は薄かった。このため、新たなオペでは企業や個人への貸し出しを増やすことが条件となり、これを守らなかった銀行は前倒しの返済を求められる。

ECBは年内の2回のオペで計4,000億ユーロの供給を想定していた。しかし、実際の供給額は2,124億ユーロと、半分をわずかに超える水準にとどまった。銀行が貸し出しに消極的なだけでなく、企業の資金需要がユーロ圏の景気停滞で低調なことが背景にある。

ドラギ総裁は今月初めに開いた定例政策理事会後の記者会見で、追加緩和策としてユーロ圏の銀行が保有する国債などを買い入れる量的金融緩和を来年初めにも実施する意向を表明していた。LTROで期待していたような効果が見込めなくなったことで、市場ではECBが3月までに量的緩和に踏み切るとの見方が強まっている。