欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/12/15

EU産業・貿易

ルクセンブルクの優遇税制、ディズニーなどとも取り決め

この記事の要約

ルクセンブルク当局が世界の大手企業との間で取り決めを結び、極めて低い法人税率を適用していた問題で、新たに米ウォルト・ディズニーなどがルクセンブルク子会社を通じて租税回避を行っていたことが明らかになった。ルクセンブルクは他 […]

ルクセンブルク当局が世界の大手企業との間で取り決めを結び、極めて低い法人税率を適用していた問題で、新たに米ウォルト・ディズニーなどがルクセンブルク子会社を通じて租税回避を行っていたことが明らかになった。ルクセンブルクは他国からの情報提供の要請に応じる方針を示しているが、誘致の見返りとして長年にわたり企業の課税逃れを手助けしてきた同国に対し、税制度の見直しを求める声がさらに高まりそうだ。

「ルクスリークス(LuxLeaks)スキャンダル」と呼ばれている一連の問題は、米ワシントンに本部を置く国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が11月初め、ルクセンブルク当局が2002年から10年にかけて、世界の大手企業340社以上との間で税制上の優遇措置に関する秘密の取り決めを結んでいたとの調査結果を公表したのが発端。米飲料大手ペプシコ、米消費財大手プロクター&ギャンブル、スウェーデン家具販売大手イケアなどが対象に含まれており、これらの企業はルクセンブルクに事業実態のない子会社を設立し、さまざまな手法を用いて他国で得た利益を同社に移すことで低税率の適用を受けていたとされる。

ICIJが9日公表した文書によると、ディズニーのほか米複合企業コーク・インダストリーズ、米マイクロソフト傘下のスカイプなど新たに35社がルクセンブルクの子会社を通じ、09年から13年にかけて節税を行っていたことが判明した。たとえばディズニーはルクセンブルクに金融子会社を設立し、フランスなどの関連会社に高金利で融資を行うことで課税所得を減らしていたとされる。ベルギーの有力紙ルソワールは、13年までの4年間にディズニーに適用された法人税率はわずかに0.28%だったと報じている。

ディズニーの広報担当は一連の報道に対し、同社が過去5年間に世界で支払った税率は平均34%となっており、ルクセンブルクでの課税措置が税金の支払いに影響を与えた事実はないと反論している。

一方、ルクセンブルク財務省は今回の事態を受けて声明を発表。税務当局と企業が税制上の取り扱いについて事前に取り決めを結ぶこと自体に「法律上の問題はない」と改めて表明したうえで、国外の企業との取り決めについて他国から情報提供の要請があれば、速やかに応じる方針を明らかにした。