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2015/1/5

総合 – 欧州経済ニュース

スウェーデンが解散総選挙を回避、連立政権と野党連合が協力合意

この記事の要約

スウェーデンのロベーン首相は12月27日、予算案の否決を受けて2015年3月の実施を予定していた総選挙が回避されたと発表した。中道左派の連立政権と中道右派の野党4党の間で妥協が成立したため。合意に基づき同首相が引き続き政 […]

スウェーデンのロベーン首相は12月27日、予算案の否決を受けて2015年3月の実施を予定していた総選挙が回避されたと発表した。中道左派の連立政権と中道右派の野党4党の間で妥協が成立したため。合意に基づき同首相が引き続き政権を担う。

スウェーデンでは昨年9月に実施された総選挙で8年ぶりに政権交代が実現し、10月にロベーン氏率いる社会民主労働党と緑の党による連立政権が発足した。しかし、両党が議会で保有する議席数は過半数に届いておらず、少数与党体制での厳しい政権運営となっていた。こうしたなか、議会は12月3日、政府が提出した2015年予算案を否決。総選挙で第3党に躍進した極右のスウェーデン民主党の支持を取りつけた野党連合の予算案が成立した。ロベーン首相はこれを受け、議会を解散して3月22日に再び総選挙を実施すると表明していた。

「12月合意」と呼ばれる連立政権と野党4党との合意は、与野党が拮抗する議会で実質的に決定権を握る民主党を孤立させ、政治の安定を図る狙いがある。合意は2022年まで有効。この間、野党連合は政府予算案に反対票を投じることを控え、話し合いによる合意形成を目指すほか、年金、防衛、エネルギーなどの政策分野でも両陣営が協力することが盛り込まれている。

スウェーデンではこれまで安定的に議会政治が運営されており、1958年以来、解散による総選挙は行われていない。ロベーン首相は今回の合意について「議会が困難な状況にある場合でも、スウェーデンは正常に政治を運営できることを示した」と強調している。