2015/1/5

EUその他

未受精卵からのES細胞作成技術は特許対象=欧州裁

この記事の要約

欧州司法裁判所は12月18日、ヒトの未受精卵から胚性幹細胞(ES細胞)を作成する技術は特許の対象になり得るとの判断を示した。単為生殖によって分裂・成長が促進されたヒトの未受精卵はそれ自体で人間に成長する内在的能力を備えて […]

欧州司法裁判所は12月18日、ヒトの未受精卵から胚性幹細胞(ES細胞)を作成する技術は特許の対象になり得るとの判断を示した。単為生殖によって分裂・成長が促進されたヒトの未受精卵はそれ自体で人間に成長する内在的能力を備えていない場合、1998年の「バイオ指令」で特許が認められないと規定されている「ヒト胚」には該当しないとの解釈を示したもの。これにより、未受精卵から作成されるヒトES細胞を利用した再生医療の研究が欧州で大きく前進する可能性がある。

今回の事案は、米インターナショナル・ステムセル社(ISCO)が開発した化学的および電気的刺激によって活性化されたヒトの卵子からES細胞を作成する技術について、特許は認められないとした英国知的財産庁(UKIPO)の決定をめぐり、英高等法院が欧州裁に判断を求めていたもの。ISCOは受精していない卵子から作成されたES細胞がヒトに発達することはないため、バイオ指令第6条が規定するヒト胚の使用にかかる「特許性の除外」の対象には該当しないと主張していた。

ヒト胚の使用に関する発明の特許性をめぐり、欧州裁は2011年、受精後の卵子はいかなる段階のものもすべてヒト胚に該当し、科学的研究を目的としたヒトES細胞の使用もヒト胚の「産業的・商業的目的」での使用にあてはまるとの判断を示した。このため、EU内ではヒトの受精卵から細胞を取り出して培養し、ES細胞を作成する技術などで特許を取得することは不可能になっている。これに対し、ISCOの事案は受精していないヒトの卵子についての解釈が問題となっており、欧州司法裁がどのような判断を示すか注目されていた。

欧州司法裁は、バイオ指令に定めるヒト胚に該当するためには,「未受精卵は人間に成長する内在的能力を備えていなければならない」と指摘。従って、「単為生殖的に活性化された卵子が成長のプロセスを開始するという事実のみでは、バイオ指令に定めるヒト胚として認定されるには不十分である」とし、産業的・商業的目的での特許が認められるとの見解を示した。