欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/1/5

東欧・ロシア・その他

ロシアが銀行・エネルギー部門など支援、総額50億ドル

この記事の要約

ロシア政府は、銀行部門やエネルギー部門に対する支援を相次いて打ち出している。欧米による経済制裁と原油安で通貨ルーブルが急落するなか、金融システムの動揺を抑えるとともに、打撃を受けている企業をサポートするのが狙いで、支援総 […]

ロシア政府は、銀行部門やエネルギー部門に対する支援を相次いて打ち出している。欧米による経済制裁と原油安で通貨ルーブルが急落するなか、金融システムの動揺を抑えるとともに、打撃を受けている企業をサポートするのが狙いで、支援総額は50億米ドルにのぼる。

銀行部門に対する支援では、資産規模で国内第2位の政府系金融機関VTB銀行に対し、政府系ファンドの国民福祉基金を通じて1,000億ルーブルの資本を注入。3月末までに1,500億ルーブルの追加支援を実施するほか、第3位の銀行であるガスプロムバンクの優先株400億ルーブル相当を購入した。ロシアの銀行はルーブル急落を受けて預金の引き出しや外貨への両替が相次いだことで大きな痛手を受けており、政府は近く銀行部門に対し最大1兆ルーブルの資本増強を実施すると見られる。

12月31日には、北極圏のヤマル半島で進められている液化天然ガス(LNG)プロジェクトに1,500億ルーブルの支援を実施すると発表した。ロシアの独立系天然ガス企業ノバテクのほか、仏石油大手トタルと中国国営の中国石油天然ガス集団(CNPC)が出資する同プロジェクトは、ロシアがLNGの国際市場でシェアを拡大し、欧州以外の天然ガス輸出先を開拓するにあたって非常に重要な意味を持っている。政府はこのほか、国営ロシア鉄道に対する支援も表明している。